法螺(読み)ホラ

デジタル大辞泉 「法螺」の意味・読み・例文・類語

ほ‐ら【×螺】

[名]
法螺貝」の略。
大げさに言うこと。でたらめを言うこと。また、その話。
[形動ナリ]利益が意外に多いさま。
「これを思ふに、―なる金銀まうくる故なり」〈浮・永代蔵・四〉
[類語]偽りそら嘘っぱち嘘八百虚偽偽善まことしやか二枚舌はったり虚言虚辞そら言そら音もっともらしいでたらめ出任せ出放題荒唐無稽事実無根根も葉もない

ほう‐ら〔ホフ‐〕【法×螺】

ほら(法螺)」に同じ。

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精選版 日本国語大辞典 「法螺」の意味・読み・例文・類語

ほ‐ら【法螺】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. ほらがい(法螺貝)
      1. [初出の実例]「之を巻くときは則、旋螺(ホラ)の如しといへり」(出典:法華義疏長保四年点(1002)二)
      2. [その他の文献]〔宋史‐外国伝七・日本国〕
    2. 法螺貝の大きな貝殻に細工して吹き鳴らすようにしたもの。古く軍陣で進退の合図に用い、また、修験道の山伏が山にはいるとき、猛獣を恐れさせるために吹いた。法螺貝。ほらのかい。
      1. 法螺<b>[ 一 ]</b><b>②</b>〈南紀徳川史〉
        法螺[ 一 ]〈南紀徳川史〉
      2. [初出の実例]「宝螺之声不絶、礼仏之勤無倦」(出典:法隆寺文書‐九・承暦二年(1078)一〇月三日・金光院三昧僧等解)
      3. [その他の文献]〔王勃‐益州綿竹県浄慧寺碑〕
    3. うそを言うこと。大言をはくこと。また、虚言・大言。ほらのかい。
      1. [初出の実例]「虚喝(ホラ)の種になるヨ」(出典:当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉二)
    4. 山伏の異称。
  2. [ 2 ] 〘 形容動詞ナリ活用 〙 利益や収入などが意外に多いさま。
    1. [初出の実例]「ほらなる金銀まうくる故なり」(出典:浮世草子・日本永代蔵(1688)四)

ほう‐らホフ‥【法螺】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙ほら(法螺)[ 一 ]〔書言字考節用集(1717)〕
    1. [初出の実例]「大法皷を鳴らし、大法螺(ホウラ)を吹き」(出典:虞美人草(1907)〈夏目漱石〉八)
    2. [その他の文献]〔王勃‐浄恵寺碑〕
  2. [ 2 ] 〘 形容動詞ナリ活用 〙 ( 「ぼうら」とも ) 中身が備わっていないのに大きな口をきくこと。誇大なこと。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「かうていかめいほうらな事を云ぞ」(出典:史記抄(1477)九)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「法螺」の意味・わかりやすい解説

法螺(ほら)
ほら

巻き貝の先端または側面に穴をあけ、吹口を取り付けた吹奏楽器。唇を振動させて音を出す。アジアやオセアニアに広く分布し、宗教や呪術(じゅじゅつ)に用いられるほか、信号発信にも使われる。日本では法螺貝または略して貝(ばい)ともよばれ、密教僧が宗教具として唐から伝えたとされる。現在でも真言(しんごん)宗や天台宗の法会(ほうえ)や東大寺などの修二会(しゅにえ)で、儀礼の一つとして吹奏されている。以前は、戦陣において陣太鼓とともに用いられ、合図や、戦意を高めるなどの役割を担い、陣具ともよばれた。歌舞伎(かぶき)でも、戦いの場面の効果音として使われる。

[藤田隆則]

『大無量寿経』では法鼓(太鼓、鉦鼓(しょうこ))と法螺があげられている。サンスクリット語ではシャンキャśakhaといい、商きょと訳す。大巻き貝を吹くことによって遠方に音を伝える。修行者がこれを山中で吹くのは、猛獣を追い払うとともに悪魔を退けるためである。日本ではもっぱら修験道(しゅげんどう)の合図に吹かれ、山伏集団のあるところでは、「貝吹き岩」があって、日常の合図と非常呼集に使われた。「ほうら」ともいわれ、法螺の緒(お)は螺緒(らお)といい、山中では救急用のザイルであった。

[五来 重]



法螺(ほうら)
ほうら

法螺

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百科事典マイペディア 「法螺」の意味・わかりやすい解説

法螺【ほら】

インドで,人を集めるのにホラガイを吹いたのを,仏の説法に集まる人の盛んなさまにたとえ,また仏の説法そのものにもたとえた。日本では,山伏が悪獣を追うために用いたが,のち重要な法具となり,法会でも用いるようになった。千手観音の持物の一つでもある。また法螺を吹くことによる呪術性は,戦場,寺院の大衆発向,徳政一揆などの場でも機能したとされる。俗に〈法螺を吹く〉とは大げさな話をすること。
→関連項目ホラガイ(法螺貝)

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普及版 字通 「法螺」の読み・字形・画数・意味

【法螺】ほうら・ほら

ほら貝。

字通「法」の項目を見る

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