津島佑子(読み)ツシマユウコ

デジタル大辞泉 「津島佑子」の意味・読み・例文・類語

つしま‐ゆうこ〔‐イウこ〕【津島佑子】

[1947~2016]小説家。東京の生まれ。本名里子太宰治次女。「ナラ・レポート」で芸術選奨紫式部文学賞受賞。他に「むぐらの母」で田村俊子賞、「草の臥所ふしど」で泉鏡花文学賞、「黙市だんまりいち」で川端康成文学賞、「火の山」で谷崎潤一郎賞野間文芸賞など、多くの文学賞を受賞している。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「津島佑子」の意味・わかりやすい解説

津島佑子
つしまゆうこ
(1947―2016)

小説家。本名里子。東京都出身。作家太宰治(だざいおさむ)の次女。白百合(しらゆり)女子大学英文科卒業。在学中に『レクイエム――犬と大人のために』(1969)を発表し、女流新人として注目された。『葎(むぐら)の母』(1976)で田村俊子(としこ)賞を、『草の臥所(ふしど)』(1977)で泉鏡花(きょうか)賞を、『寵児(ちょうじ)』(1978)で女流文学賞を、『光の領分』(1979)で野間文芸新人賞を、『黙市(だんまりいち)』(1983)で川端康成(やすなり)文学賞を、『夜の光に追われて』(1987)で読売文学賞を、『真昼へ』(1988)で平林たい子賞をそれぞれ受けた。ほかに『大いなる夢よ、光よ』(1990)、『風よ、空駆ける風よ』(1995)、『火の山』(1998)などがある。これらの作品では、家、家族の場で、自己に内在しているものの確認、人間関係における孤絶と連帯の実相を執拗(しつよう)に追求する。自在な発想と、のびやかな文体は、父太宰治から受け継いだものと評される。

[岡 宣子・橋詰静子]

『『草の臥所』『黙市』『光の領分』(講談社文庫)』『『葎の母』(河出文庫)』『『夜の光に追われて』上中下(1994・埼玉福祉会)』『『寵児』(2000・講談社)』

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知恵蔵mini 「津島佑子」の解説

津島佑子

日本の小説家。1947年3月、小説家・太宰治の次女として、東京・三鷹で生まれた。本名里子(さとこ)。翌年に父太宰が自殺し、12歳の時には知的障害のある兄を亡くしている。白百合女子大英文科在学中から「文芸首都」「三田文学」に参加し、69年に小説「レクイエム」で文壇デビュー。72年、「狐を孕(はら)む」が芥川賞候補となる。78年『寵児』(河出書房新社)で女流文学賞を、79年『光の領分』(講談社)で野間文芸新人賞を受賞。85年に長男を病気で失い、87年『夜の光に追われて』(講談社)で読売文学賞を受賞。98年には『火の山-山猿記』(講談社)で谷崎潤一郎賞と野間文芸賞を受賞し、NHK連続テレビ小説「純情きらり」(2006年)の原案となる。01年には『笑いオオカミ』(新潮社)で大佛次郎賞を、11年に『黄金の夢の歌』(講談社)で毎日芸術賞を受賞するなど、第一線で活躍し続けた。16年2月18日、肺がんにより死去。享年68。

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百科事典マイペディア 「津島佑子」の意味・わかりやすい解説

津島佑子【つしまゆうこ】

小説家。本名里子。東京都生れ。白百合女子大学英文学科卒業。太宰治の次女。《謝肉祭》(1971年)に収める諸作品で文壇に出る。《葎の母》(1975年)で田村俊子賞,《草の臥所》(1977年)で泉鏡花賞,《寵児》(1978年)で女流文学賞,《光の領分》(1979年)で野間文芸新人賞,《黙市》(1982年)で川端康成賞,《夜の光に追われて》(1986年)で読売文学賞と,受賞作多数。父・母・子からなる家庭という単位が作りだす感情の単純さと複雑さ,家族からはみ出た女の生と性を描き,高い評価を得ている。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「津島佑子」の解説

津島佑子 つしま-ゆうこ

1947- 昭和後期-平成時代の小説家。
昭和22年3月30日生まれ。太宰治(だざい-おさむ)の次女。白百合女子大在学中から知的で幻想的な習作をかいて注目される。昭和50年「葎(むぐら)の母」で田村俊子賞,53年「寵児」で女流文学賞,62年「夜の光に追われて」で読売文学賞,平成10年「火の山―山猿記」で野間文芸賞と谷崎潤一郎賞。17年「ナラ・レポート」で芸術選奨,紫式部文学賞。24年「黄金の夢の歌」で毎日芸術賞。東京出身。本名は里子。

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