浦廻(回)船(読み)うらかいせん

改訂新版 世界大百科事典 「浦廻(回)船」の意味・わかりやすい解説

浦廻(回)船 (うらかいせん)

江戸時代に全国津々浦々に発達した廻船。江戸と大坂との間の海運に従事した〈菱垣廻船〉と〈樽廻船〉,日本海方面から津軽海峡を経て江戸に至る〈東廻海運〉,おなじく日本海方面から下関海峡を経て大坂に至る〈西廻海運〉のように基幹航路に就航した廻船に対して,浦廻船は,地方の産物城下町や江戸・大坂のような大市場に運ぶとともに,そこに集まった物資を逆に地方に配給していくうえで重要な役割を果たした。幕藩領主の年貢米輸送契機として新たな展開を示した海運は,18世紀に入り年貢米の郷払いが多くなるにつれて,地方の商品流通を盛んにし,村の構造にも変化を及ぼした。在方の商業資本の台頭とともに,漁村・浦方にも船持(船主)が現れ,江戸・大坂のような遠隔地輸送のほか,近距離輸送による市場圏を形成するのに浦廻船が果たした役割は大きい。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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