浮鳥(読み)うかれどり

精選版 日本国語大辞典 「浮鳥」の意味・読み・例文・類語

うかれ‐どり【浮鳥】

〘名〙
① まだ夜が明けないのに浮きたつさまに鳴いて朝を告げる鶏。
※新撰朗詠(12C前)下「薄媚(なさけな)き狂鶏(ウカレトリ)三更(あけもはてぬ)に暁を唱ふる〈張文成〉」
② ひとところに落ち着かないで飛び回る鳥。夜、ねぐらを離れて浮かれ歩く鳥。
※大観本謡曲・藤(室町末)「月は出でてもむば玉の、よるべ定めぬ浮かれ鳥、鳴く音も法(のり)の声添へて」

うき‐とり【浮鳥】

〘名〙
① 水に浮かんでいる鳥。水鳥。《季・冬》
※新撰六帖(1244頃)三「うき鳥のさながらぬるる水あそびなにぞはさてもかしらからげぞ〈藤原信実〉」
水上に浮かばせる、水鳥の形をした玩具。蝋(ろう)で作り彩色を施した。〔随筆・嬉遊笑覧(1830)〕
茶道で、型物香合の一つ。呉須。水上に浮かぶ水鳥のような形のもの。べた底で蓋は藍絵(あいえ)があり、身は白無地が多い。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の浮鳥の言及

【浮人形】より

…小型のセルロイド製の舟の船尾にショウノウをつけ,水面に浮かべて舟を動かす樟脳舟と同じ原理による。中国の水物玩具の浮鳥が原型で,西域地方では中元の日に婦人がこの人形を水に浮かべて遊び,子を得るまじないとする風俗があったという。江戸時代に渡来し,日本では夏の遊びとして親しまれた。…

※「浮鳥」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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