浸出（読み）シンシュツ（その他表記）leaching

デジタル大辞泉

しん‐しゅつ【浸出】

［名］(スル)物を液体の中につけたときに、その物質の成分が溶け出ること。また、溶け出させること。「生薬の成分を溶剤に浸出させる」

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

しん‐しゅつ【浸出】

1. 〘 名詞 〙
2. ① ひたっていた液体の中に物の成分が溶け出ること。
   1. [初出の実例]「肝臓の表面は汚穢な苔状の浸出物によって厚く覆われていて」(出典：私々小説（1973）〈藤枝静男〉)
3. ② 抽出操作の一つ。固体を液体で処理して、ある成分を液体中にとり出す操作。化学分析における沈殿中の可溶成分の洗い出し、冶金における鉱石からの目的金属の溶かし出し、豆からの油の抽出など。
   1. [初出の実例]「赤澱粉は十様錦雁来紅（〈注〉はげいとう）の葉及び諸草の嫩苗紅芽に在り亜爾箇児に浸出す」(出典：舎密開宗（1837‐47）内)

出典　精選版 日本国語大辞典

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

浸出
しんしゅつ
leaching

湿式製錬において，鉱石または精鉱中の目的とする金属を適当な溶媒に溶かし，難溶性の不純物および脈石を残渣として残す処理。溶媒は化学的に安定で，目的金属を選択的かつすみやかに溶解し，さらにその溶解度が大きく，またその溶液から金属を容易に還元採取できることが望まれる。また安価であり，取り扱いが安全で，容器を腐食しないことも重要である。浸出溶媒には酸，アルカリいずれも用いられるが，酸浸出はアルカリ浸出に比べて一般に反応速度が大きく，特に硫酸 H₂SO₄は安価であり，溶媒としてよく用いられる。しかし，浸出容器の腐食や酸化マグネシウム MgO，酸化カルシウム CaOなどが脈石として存在すると，酸がその分よけいに消費されるなどの欠点もある。アルカリ溶媒は高価であるが，錯イオンを形成する場合には，目的金属にのみ選択的に作用するため少量でよいという利点がある。（→ソリューション・マイニング）

出典　ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

改訂新版　世界大百科事典

浸出 (しんしゅつ)

→リーチング

出典　株式会社平凡社「改訂新版　世界大百科事典」

栄養・生化学辞典

浸出

　物体から液体がしみ出すこと．

出典　朝倉書店

世界大百科事典（旧版）内の浸出の言及

【リーチング】より

…浸出ともいう。鉱石や焙焼（ばいしよう）鉱の中に含有される金属や金属鉱物などの特定の成分を酸，アルカリなどの溶媒に溶かし出し，残りの固体から分離すること。…

※「浸出」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」