消化管間質腫瘍(読み)ショウカカンカンシツシュヨウ

デジタル大辞泉 「消化管間質腫瘍」の意味・読み・例文・類語

しょうかかん‐かんしつしゅよう〔セウクワクワンカンシツシユヤウ〕【消化管間質腫瘍】

胃・小腸など消化管粘膜下の間質に発生する腫瘍細胞増殖に関与するKITたんぱく質の異常によって、細胞の増殖が亢進することにより起こる。症状に応じて手術により摘出する。切除できない場合は、分子標的治療薬イマチニブ(商品名グリベック)により腫瘍細胞の増殖を抑制する。GISTジスト(Gastrointestinal stromal tumor)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「消化管間質腫瘍」の意味・わかりやすい解説

消化管間質腫瘍
しょうかかんかんしつしゅよう

胃や腸など消化管の粘膜の下にある筋層などに発生する腫瘍(しゅよう)(粘膜下腫瘍)。消化管でもっとも多い粘膜下の間質に発生する間葉系腫瘍の一つである。消化管間葉系腫瘍ともいう。英語名称はgastrointestinal stromal tumorで、略称GIST。かつては平滑筋由来と考えられていたため平滑筋芽細胞腫ともよばれた。細胞の増殖をつかさどるKIT(キット)タンパク質が異常をきたし、筋層にあるこのタンパク質をもつ細胞(カハールCajal介在細胞)が悪性増殖して腫瘍が形成されると考えられている。消化管のなかではとくに胃に多く発生する。特徴的な症状が比較的乏しく、自覚症状のないまま経過し悪性化して発見されることも多い。おもな症状としては吐血下血腹痛、腹部腫瘤(しゅりゅう)などがある。3センチメートルを超える腫瘍に対しては外科的切除が第一選択であるが、癌(がん)分子標的治療薬イマチニブが保険適用となっており、手術で完全にとりきれなかった例や進行して切除ができない例、および再発例にはこの薬物投与も検討される。また5センチメートルを超える腫瘍は悪性度が高い。

[編集部]

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