涌谷(読み)わくや

改訂新版 世界大百科事典 「涌谷」の意味・わかりやすい解説

涌谷[町] (わくや)

宮城県中部,遠田郡の町。人口1万7494(2010)。大崎平野東端にあたり,北を迫(はさま)川,南を江合(えあい)川,東を旧北上川が流れ,中央部に篦(のの)岳丘陵が位置する。涌谷はJR石巻線が通じ,国道108号線と346号線が交差する中心集落で,近世には涌谷伊達氏2万2600石の城下町で,米や繭の集散地としても栄えた。4代伊達宗重は伊達騒動の中心人物として著名である。明治以降も遠田郡の行政・商業の中心地であったが,江合川流域の米作を主とする農業以外に目ぼしい産業がなく,高度経済成長期には人口流出が相次いだため,1970年に過疎町村の指定を受けた。70年以降,石巻市方面から電子部品などの工場進出がみられるが,85~95年の人口は微減の傾向にある。日本で初めて金を産出した地として知られ,町西部の黄金山神社には黄金山産金遺跡(史)があり,《万葉集》にも詠われている。北部には縄文時代中期の長根貝塚(史)もある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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