深色効果(読み)シンショクコウカ(英語表記)bathochromic effect

デジタル大辞泉 「深色効果」の意味・読み・例文・類語

しんしょく‐こうか〔‐カウクワ〕【深色効果】

物質吸収スペクトルが長波長側にずれる現象分子構造変化に伴いスペクトルが移動する。染料にこの効果をもつ分子を用いると、黄色のものが赤みを帯びるなど、色を深める効果がある。⇔浅色効果

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改訂新版 世界大百科事典 「深色効果」の意味・わかりやすい解説

深色効果 (しんしょくこうか)
bathochromic effect

光吸収スペクトルを長波長側に移動させる効果をいう。とくに物質の化学構造の変化に伴ってこのような効果が起こる場合に用いる。たとえば有機染料の分子はC=C,N=N,C=O等の不飽和結合発色団)をもっており,それらに基づく光吸収発色原因となる。このような分子にCl,NH2,NO2等の置換基助色団)が導入されたり,また他の不飽和結合が加わったりしてπ電子共役系が大きくなると深色効果が現れる。深色効果と逆にスペクトルを短波長側に移動させる効果を浅色効果hypsochromic effectという。
赤方偏移 →π結合
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化学辞典 第2版 「深色効果」の解説

深色効果
シンショクコウカ
bathochromic effect

物質の吸収が長波長にずれ,色が深くなる効果.有機色素の吸収帯は,一般に官能基で置換すると長波長にずれ,その色は深くなる.このような置換基は深色団といわれる.アミノ基ヒドロキシ基などの助色団は,一般に深色効果を与えるが,この効果は置換する位置によっても異なる.なお,吸収帯が長波長にずれることをレッドシフトという.[別用語参照]浅色効果

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

法則の辞典 「深色効果」の解説

深色効果【bathochromic effect】

吸収帯を長波長側に移動させる効果.この原因となる置換基を「深色団」という.分光化学系列*配位子による深色効果(配位子場分裂エネルギーの低下)の順序に他ならない.

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栄養・生化学辞典 「深色効果」の解説

深色効果

 ある物質の紫外部や可視部の光の吸収スペクトルの吸収極大波長を長波長側に移す効果.不飽和結合が孤立した状態から共役状態に移るとこのような効果がみられる.逆に短波長側に移す効果を浅色効果という.

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世界大百科事典(旧版)内の深色効果の言及

【赤方偏移】より

…化学における例として,無極性溶媒中の溶質のスペクトルは溶媒の屈折率が増すと一般に長波長側にずれる現象がある(溶媒効果)。また分子の吸収スペクトルは,その化学構造の変化に伴って長波長側にずれることがある(深色効果)。【原田 義也】
[天体]
 天体の赤方偏移の原因は,通常は光源が観測者に対して後退運動をするためのドップラー効果と解釈される。…

※「深色効果」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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