深草検校(読み)ふかくさけんぎょう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「深草検校」の意味・わかりやすい解説

深草検校
ふかくさけんぎょう

盲人の地歌三弦家。都名 (いちな) は官一。早崎検校そよ一に師事享保1 (1716) 年検校登官。初め野崎検校とだ一と称した。当時京都での三弦名手として知られ,柳川流系の早崎流三味線組歌伝承,『十二月新組』『千代の恵』など新作。ほかに長歌『長歌尽し』『大和琴』以下多数作曲。手事物先駆作の北島勾当作曲『さらし』を現行のように改曲したり,『六段の調』や『みだれ』などに三弦手付も行なったりした。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「深草検校」の解説

深草検校 ふかくさけんぎょう

?-? 江戸時代中期の地歌演奏家。
享保(きょうほう)(1716-36)のころ京都で活躍。柳川流の早崎検校の門人で,野川検校とならび称された。組歌「十二月新組」「千代の恵」,長歌「丹頂の鶴」「冬の夜」などの作曲で知られる。名は官一。前名は野崎検校とだ一。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の深草検校の言及

【晒】より

…(1)地歌・箏曲 貞享(1684‐88)以前に北沢勾当が,宇治川の布ざらしを歌った小編の小歌をつないで,間奏を入れた長歌を原曲とし,これを《古(こ)さらし》という。これに対して,深草検校が,その間奏部の器楽性を発展させたものを《新さらし》といったが,のちには,単に《さらし》といえば,この深草の手事物あるいはそれを箏曲化したものをいうようになった。これに対して,三味線の変奏度を増したものも,さまざまに作られ,京都では《早ざらし》といい,江戸の山田流でも三味線秘曲の《新ざらし》が伝えられ,さらにこれにやはり変奏度の強い箏の手を付けることも行われた。…

【乱】より

…そのほか,津軽箏曲に発展の途中の段階を示す段構造のものが数種遺存している。三味線曲化したものは,生田検校ないし深草検校の作曲と伝えられる。江戸の野田検校が,本雲井調子の替手を作曲しているが,京都などでは,平調子の替手が付けられ,八重崎検校の編曲と伝えられる。…

【六段】より

…段物ないし調べ物の代表曲で,組歌の表組に付随する付物として教習・伝習された。三味線曲化したものは,深草検校の作曲と伝えられ,前後に歌が付いて長歌物とも扱われたが,手事物の分類の成立期には,その代表曲とされた。これに,国山勾当(こうとう)が三下りの替手を付けたが,さらにそれを箏に移したものが,箏の雲井調子ないし中空調子の替手である。…

※「深草検校」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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