デジタル大辞泉
「清ら」の意味・読み・例文・類語
きよ‐ら【清ら】
[名・形動]清く美しいこと。気品があって美しいこと。また、そのさま。
「青く―にて物問いたげに愁いを含める目の」〈鴎外・舞姫〉
「装束の―なること、物にも似ず」〈竹取〉
[補説]平安時代には「きよげ」よりも上の第一流の美をさして用いた。
けう‐ら【▽清ら】
[形動ナリ]《「きよら」の音変化か》けがれなく美しいさま。きょうら。
「かの都の人は、いと―に、老いをせずなむ」〈竹取〉
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きよ‐ら【清ら】
〘名〙 (形動) (
形容詞「きよい」の
語幹に
接尾語「ら」の付いたもの) 清らかなこと。清く美しいこと。華麗なこと。また、そのさま。特に平安時代、広く美一般をさす語として、「きよげ」よりも一段と上の、輝くような美しさをさして用いたといわれる。
※竹取(9C末‐10C初)「立てる人どもは装束のきよらなる
事物にも似ず」
※
源氏(1001‐14頃)
桐壺「世になくきよらなる、たまのをのこみこさへ生まれ給ひぬ」
[語誌]
上代には見えず、平安時代に頻出。
皇族、
貴族など、第一級の人物や事物を形容する美的
語彙で、「きよげ」よりは上位。「
源氏物語」では、光源氏や
夕霧、
匂宮、紫上などに多用される。「きよし」が山川・月などの対象そのものの澄明さを抽象化・一般化して表わすのに対して、装束・
殿舎・
儀式などの身近な個別の事物や人物に用いる。→
きよい・
きよげ
けう‐ら【清ら】
〘名〙 (形動)(「きよら」の変化した語という。後世キョーラと発音したか) 光り輝き、けがれがなく美しいさま。整って清純で美しいこと。
※新井本竹取(9C末‐10C初)「この
稚児の
かたちの、けうらなる事、世になく」
[
補注]平安時代の美を表わす語だが、「きよら」との
異文が多く、「けうら」と確認しうる用例数は限られる。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報