準法律行為(読み)じゅんほうりつこうい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「準法律行為」の意味・わかりやすい解説

準法律行為
じゅんほうりつこうい

意思表示を要素としない,人の適法な行為をいう。適法行為という点では法律行為と同じであるが,意思表示を必要としない点で法律行為と異なる。準法律行為には表現行為と実行行為とがある。表現行為とは感情の表示 (民法旧規定に認められた離婚原因に対する宥恕) ,観念の通知 (社員総会の通知,代理権授与の通知) ,意思の通知 (相手方への催告) などであり,実行行為とは弁済行為,先占,事務管理などである。準法律行為は,一定法律秩序を維持するために当事者の意思とは無関係に,法律によって特に法的効果が認められるものであり,法律行為とは異なるので,その通則である行為能力,錯誤,代理などに関する規定原則として適用されない。

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世界大百科事典(旧版)内の準法律行為の言及

【意思表示】より

…売買契約の申込みや承諾,遺言などのように,一定の私法上の法律効果の発生を意欲する意思をもち,それを他人に知らせるために外部に表示する行為であり,その意思の内容どおりの法律効果の発生が法律によって認められているものである。意思の通知,観念の通知,感情の通知などの準法律行為が,行為者(通知者)の意思・意欲とは無関係に法律上の効果を生ずるのとは異なる。 この意思表示は,〈私的自治の原則〉(私人間の法律関係は原則として,その当事者たる私人みずからをしてその欲するところにしたがって決定し形成させるのが合理的であるとする原則)の法律上の手段である法律行為に欠かすことのできない要素をなすものである。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」