漢俳(読み)かんぱい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「漢俳」の意味・わかりやすい解説

漢俳
かんぱい

漢訳俳句とも呼ばれる。俳句の五七五の形式に倣い,五・七・五と 17字の漢字を3行に並べ,季題を入れ,韻を踏んだ有季定型による新しいスタイルの詩。例として,1981年4月,京都の平安神宮での日中競詠の際の「桜を詠ず」と題する一句をあげよう。「桜色満芳春/但願剪得一片雲/裁作綿衣裙」。直訳すれば,「桜の咲きにおう春となった。うららかな空に浮かぶ雲を切り取り,柔らかな衣をあなたのために作りたいものだ」。「春 ch`uen」「雲 yün」「裙 ch`ün」と脚韻を踏み,「桜」が春の季題となっている。 80年5月,日中友好協会の招きに応じて,大野林火を団長とする俳人協会一行が訪中した際,初めて中国に「漢俳」の詩型が生まれた。以降,全国に着実にファンを増やしており,90年5月には,杭州大学に「中国全国和歌俳句研究会」が結成された。

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