潜水夫病ともいう。海底作業やレジャーでの潜水など,高圧下での長時間潜水後の減圧過程で生じる障害。水面下では水深10mごとに1気圧ずつ加圧される。深度10m以下の素潜りではとくに問題は生じないが,スキューバを用いての数十m以上の潜水やヘルメット式およびマスク式の送気式潜水による長時間潜水では,高圧による種々の症状が生じ,また水面常圧下への減圧過程で潜水病と呼ばれる障害が発生する。
高圧下では呼吸気中の窒素や酸素など各種ガスが大量に体内に溶解し,窒素酔いと呼ばれる酩酊状態や酸素中毒の症状をもたらすことがある。最も重要な健康障害は減圧時,高圧下で溶解していたガスが分離することによって生じる。これら余分のガスは,ゆっくりした減圧の場合には体外に排出されたり消費されていくが,急速な減圧では溶解性の低いガス,とくに窒素ガスは気泡となり,血管をふさいで血液循環を阻害したり,組織を圧迫して次のような潜水病(減圧症)の症状をもたらす。(1)皮膚のかゆみや出血,(2)ベンズbendsと呼ばれる四肢の関節部の痛み,(3)チョークスchokesと呼ばれる胸痛や息ぎれ,あるいは血圧低下,チアノーゼなどショック症状,(4)脊髄障害による運動麻痺や知覚障害,あるいは脳障害によるめまい,吐き気から意識障害や視力障害などの中枢神経系の症状。また慢性症状として,骨の破壊の生じることが知られている。このような障害を減圧症decompression sicknessというが,減圧症は潜函(ケーソン)作業や加圧シールド工法など高圧下作業でも発生する危険があり,潜函病(ケーソン病caisson disease)と呼ばれる。予防としては,深度と滞在時間に応じた段階的減圧法を行うことが不可欠であるが,減圧時に純酸素やヘリウムを呼吸させる方法も行われている。治療としては再加圧後,徐々に減圧を行うことが基本である。
執筆者:竹本 泰一郎
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潜水作業時にみられる減圧症のことで潜水夫病ともいう。
[編集部]
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