灌頂(僧)(読み)かんじょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「灌頂(僧)」の意味・わかりやすい解説

灌頂(僧)
かんじょう
(561―632)

中国、唐代の天台宗の僧。字(あざな)は法雲、俗姓は呉氏。浙江(せっこう)省臨海県章安(しょうあん)の人で、章安尊者ともよばれる。7歳で摂静寺(しょうじょうじ)の慧拯(えじょう)に学び、583年(至徳1)智顗(ちぎ)に師事して天台の教えを受ける。その後はつねに侍者として仕え、『法華文句(ほっけもんぐ)』『法華玄義(げんぎ)』『摩訶止観(まかしかん)』などの師の講説を筆録した。師の没後も、『智者大師(ちしゃだいし)別伝』を著し、また師に関する書簡、碑文を集めて『国清百録(こくせいひゃくろく)』4巻を編するなど、天台宗の成立に果たした功績は大きい。著書は、ほかに『涅槃経疏(ねはんぎょうしょ)』2巻、『観心論疏(かんじんろんしょ)』5巻などがある。

[池田魯參 2017年1月19日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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