火の娘たち(読み)ヒノムスメタチ(英語表記)Les Filles du feu

デジタル大辞泉 「火の娘たち」の意味・読み・例文・類語

ひのむすめたち【火の娘たち】

原題、〈フランスLes Filles du feuネルバルの短編小説集。女性の名を冠した七つの小説からなる。1854年刊行。巻末詩集幻想詩集」を採録する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「火の娘たち」の意味・わかりやすい解説

火の娘たち
ひのむすめたち
Les Filles du feu

フランスの詩人・小説家ネルバルの短編集。1854年刊。女性の名前を題名にした7編の作品を収録。なかでは『シルビー』が、その豊かな地方色と叙情性とによって広く愛読されている。しかし、この作品の真の魅力は、女優にむなしい恋をしている主人公が、呪縛(じゅばく)から逃れるために、幼時の恋を求めて田舎(いなか)へ赴くという筋立ての裏に、独特の神秘思想に彩られた観念幻想が秘められていることから生じている。この点は他の6編についても、ほぼ同様である。また本書には、巻末にフランス近代詩史上の奇跡と称される12編のソネットを集めた『幻想詩集』les Chimèresが併収されていることでも、重要な意義がある。

入沢康夫

『中村真一郎訳『火の娘』(新潮文庫)』

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