火主水従(読み)かしゅすいじゅう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「火主水従」の意味・わかりやすい解説

火主水従
かしゅすいじゅう

ベースロード (時間的,季節的な変動を除いたコンスタントな電力需要) を火力発電によってまかない,補給用に水力発電が使われる電力供給方式。逆に水力が主,火力が補給用の方式を水主火従という。日本は伝統的に水主火従方式をとってきたが,火力技術の進歩から熱効率が向上し,大容量機器で建設費の低い火力発電所の開発が飛躍的に増大してきたため,1962年から火主水従方式に移行した。その後もエネルギー需要はふえ続けて原子力発電が導入され,その発電の比重も高まってきたが,環境問題などで地域住民などの反対運動が激しく,依然火力中心の発電体制となっている。

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世界大百科事典(旧版)内の火主水従の言及

【電気事業】より

…〈水主火従〉とは,水力発電をベースロード供給用に使い,ピークロード(尖頭負荷)には火力発電で対応しようとすることである。第2次大戦後も約10年間はこの方式が採られてきたが,1950年代半ばに急速に〈火主水従〉方式に転換しはじめた。しかも,それまでは火力発電の燃料といえば石炭であったが,同じ時期に中東の低コスト原油が出現したことと相まって,石油への転換が行われた。…

※「火主水従」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」