火山砕屑流(読み)かざんさいせつりゅう(英語表記)pyroclastic flow

翻訳|pyroclastic flow

岩石学辞典 「火山砕屑流」の解説

火山砕屑流

火山噴火に際して,熔岩破片や火山灰とガスの混合物などの火山砕屑物が高速で流下する現象を火山砕屑流(火砕流)とよぶが,その内容にはドライ・アバランシュ(dry avalanche),ベース・サージ(base surge),土石流(debris flow),泥流(mud flow),水中火砕流(subaqueous pyroclastic flow)など様々なものが含まれる.荒牧は従来の火砕流の分類を整理して,高温のガスと粉体の混合物の乱流に限って使用するのが望ましいとしている[荒牧 : 1957, 1979].火山砕屑流は熔岩と火山砕屑岩との中間に相当するもので,火口から破片や粉体の集合として火山砕屑物が放出されると,乱流状態で火山の斜面を急速に流下する.これはガスの媒体中に液体相が分散して流動化したもので,このような一団熱雲(nuee ardante)という.色々な噴出起源の生成物に火山砕屑流があり,これには熔結凝灰岩やイグニンブライトが含まれている.火山砕屑流は水蒸気マグマ噴火(phreatomagmatic eruption)に伴われたベース・サージ堆積物などのように流動機構によって移動した火山砕屑堆積物を含めて拡大解釈すべきという意見がある[Waters & Fisher : 1971].火山砕屑流は乱流の状態で急速に堆積するので,空気による分級作用は働かず,冷却作用も不十分な場合が多い.また地形の低い所を選んで流下するので,その分布は一様に地表を覆う降下堆積物とは全く異なる特徴を示している.堆積物には露頭単位では成層構造がみられない[荒牧 : 1979].しかし乱流の塊がすべて乱流の状態で堆積するかどうかは不明で,部分的には降下堆積による成層構造をなす可能性がある.またこれらが十分に高温を保つとは限らず,乱流中では部分的に堆積環境や冷却状況が異なることが予想され,熔結するような条件がすべての部分で一様に保たれたとは考えられない[鈴木 : 1994].

火山砕屑流

火山砕屑物が火口から流れて溜まったもの.火山砕屑流は熔岩と火山砕屑岩の中間的なもので,火口から破片や粉体の集合として火山砕屑物が放出されると,乱流状態で火山の斜面を熱雲(nuee ardante)の状態で急速に流下する.この結果空気による分級作用が行われず,冷却作用も不十分な場合が多く,地形は低いところを選んで流下する特徴がある.

出典 朝倉書店岩石学辞典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「火山砕屑流」の意味・わかりやすい解説

火山砕屑流
かざんさいせつりゅう

火砕流

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の火山砕屑流の言及

【火砕流】より

…火山の噴火の際に,大量の軽石や火山灰が,一団となって山腹を高速度で流下する現象。かつては火山砕屑流とも呼ばれた。ふつうは,高温の固形物質(火山砕屑物)とガス(空気または水蒸気)の混相流(粉体流)を指し,重力によって駆動される。…

※「火山砕屑流」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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