灼熱痛(読み)しゃくねつつう(その他表記)causalgia

改訂新版 世界大百科事典 「灼熱痛」の意味・わかりやすい解説

灼熱痛 (しゃくねつつう)
causalgia

カウザルギーともいう。反射性交感神経性ジストロフィーreflex sympathetic dystrophyの一種末梢神経の不完全な病変によって生ずる,耐えがたい頑固な焼かれるような痛みで,手足に触れるだけでなく,精神的な刺激でも発作的に悪化する。腕神経叢の内束,正中神経,坐骨神経に最もよくみられ,傷害の1,2週間後に発症する。たとえば正中神経の場合,手には発赤,発汗が生じ,皮膚は緊満して光沢をもち,つめは湾曲して伸び圧痛があり,関節は固く腫張し,骨は希薄化してもろくなる。通常筋肉の麻痺は伴わない。発症機序にはまだ定説はないが,感覚の関門制御説gate control theoryに従い,太い末梢神経繊維の障害により細い末梢神経繊維の興奮が優先的に伝達され,障害領域からのすべての感覚入力が異常な痛みを生ずると説明されている。治療は,局所麻酔剤により交感神経ブロックを行い,痛みが軽減するなら,さらに交感神経切除術を行うのが最も効果的である。
痛み
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「灼熱痛」の意味・わかりやすい解説

灼熱痛
しゃくねつつう
causalgia

カウザルギーともいう。末梢神経幹の損傷などによって起る特異な焼かれるような痛み。やけどによるものではない。四肢外傷によって神経幹に部分的損傷が生じたときなどに起りやすいもので,循環,発汗,骨組織の異常など一連自律神経障害を伴うが,その機序に関しては不明の点が少くない。精神的興奮も誘因になる。 1872年に,南北戦争における戦傷の際の例が初めて報告されたが,最近は交通外傷原因となって起る例がふえている。

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