炎上マーケティング(読み)エンジョウマーケティング

デジタル大辞泉 「炎上マーケティング」の意味・読み・例文・類語

えんじょう‐マーケティング〔エンジヤウ‐〕【炎上マーケティング】

意図的に炎上3状態を作り出すことで、広告宣伝と同様の効果を得ること。例えば、過激な発言を繰り返して注目を集め、自身知名度を上げるなど。炎上商法炎マ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

知恵蔵 「炎上マーケティング」の解説

炎上マーケティング

ウェブサイト上での、不適切と思われる発言や表現もとに生じる「炎上」を、広告宣伝に利用する手法。「炎上」とは、ウェブサイトなどに掲載された内容に対し、批判的なコメントが殺到して、収拾がつかなくなる様である。「ブログ炎上」がよく知られている。炎上マーケティングでは、意図的に「炎上」を狙った発言を行い、商品やお店の売り上げ、個人の知名度を上げることを目的とする。
本来、「炎上」とは、悪い評判による結果であり、決して望ましい現象ではない。しかし、「炎上」によって、多くの人に注目されることは事実である。また、多大な費用をかけることなく、周知される可能性も高い。そのため、あえて不評を買い、「炎上」を引き起こすのが、同マーケティングの手法となる。
炎上マーケティングの成功例としては、2010年のルーマニアのチョコレートROM」の事例が有名。「ROM」は、ルーマニアの国旗が印刷された歴史のある国民的なお菓子だが、売り上げが低迷していた。そこで、メーカーは、ウェブサイトなどで、パッケージをアメリカの国旗(星条旗)に変更したと告知したのだが、この変更が国民の愛国心に触れ、反感を買い、「炎上」が起こった。その後、メーカーは、すぐさまパッケージを元に戻し、国民の愛国心によって元のパッケージに戻ったと伝えた。その結果、「ROM」の売り上げは増え、この企画は、カンヌ国際広告祭の2部門でグランプリを獲得した。
しかし、「ROM」のような成功例は決して多くはない。意図的に「炎上」させたものの、悪評を抑えきれず、「炎上」したまま閉鎖されるブログもある。
また、あらかじめ自分のブログやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に、広告をクリックするだけで報酬が発生する「クリック報酬型」のアフィリエイト広告などを用意しておき、何の根拠もなく有名人のブログに非難のコメントを送って、自分のサイトの「炎上」を狙い、抗議に訪れた人に広告をクリックさせることを目的とした「タダ乗り炎上マーケティング」なるものもある。

(横田一輝  ICTディレクター / 2012年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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