点取（読み）てんとり

精選版 日本国語大辞典

てん‐とり【点取】

〘名〙

① 点を取ること。得点の多寡を比較して優劣または勝敗を競うこと。

※思出の記（1900‐01）〈徳富蘆花〉一「算術の勝負や清書の点取では〈略〉敗北するが」

② 「てんとり（点取）の連歌」の略。

※随筆・戴恩記（1644頃）下「定家卿の御歌を己が歌になし、点取におこせたる人有」

③ 「てんとりはいかい（点取俳諧）」の略。

※俳諧・毛吹草追加（1647）上「点(テン)取や言の葉種(くさ)の花軍〈空存〉」

④ 相手によく思われようとすること。機嫌取り。追従。

※洒落本・通言総籬（1787）一「何かいろいろなてんとりを書、〈略〉いっそはれてきてくれろと云ぶんてい」

⑤ 灸点をとること。灸をつける部分に墨で点をつけること。

※南小泉村（1907‐09）〈真山青果〉七「田舎老爺(ゐなかおやぢ)の背中に点取りして居た」

⑥ 「てんとりむし（点取虫）」の略。

⑦ 講談で、寄席の楽屋にいる講釈師が、先輩の芸を聞き、要所を書きとること。

出典　精選版 日本国語大辞典