無効等確認の訴え(読み)むこうとうかくにんのうったえ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「無効等確認の訴え」の意味・わかりやすい解説

無効等確認の訴え
むこうとうかくにんのうったえ

行政庁処分もしくは裁決存否またはその効力有無の確認を求める訴訟行政事件訴訟法の定める抗告訴訟の一類型 (3条4項) 。処分および裁決の存在の確認,不存在の確認,その効力の有効の確認,無効の確認,失効の確認の訴えがある。不存在または無効の場合には,このことを前提とする現在の法律関係に関する訴えによればよいのであるが,この訴えは,処分が不存在または無効であるのに,行政庁がそれに続いて処分する危険があるような場合に予防訴訟的な機能をねらったもの。出訴期間制限は受けないが,原告適格には厳重な制限があり,当該処分もしくは裁決などの存否またはその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによっては目的を達することができない者に限って訴えを提起できるものとされている (36条) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の無効等確認の訴えの言及

【確認訴訟】より

…【井上 治典】
[行政訴訟]
 行政訴訟においても確認訴訟の形式が存在する。確認訴訟の種類としては,行政事件訴訟法3条4項および5項が抗告訴訟の一形式として定めている〈無効等確認の訴え〉と〈不作為の違法確認の訴え〉がある。そのほか法定外の無名抗告訴訟として,私人の公法上の〈義務不存在確認の訴え〉や行政庁の〈処分権限不存在確認の訴え〉,あるいは行政庁の〈作為義務確認の訴え〉などが学説上考えられている。…

【行政訴訟】より

…(1)抗告訴訟 公権力の行使に関する不服の訴訟。抗告訴訟はさらに,処分の取消しの訴え,裁決の取消しの訴え,無効等確認の訴え,不作為の違法確認の訴えに分けて法定されている(3条)。これ以外に,行政庁に一定の作為もしくは不作為を義務づける訴訟のごとき,いわゆる無名抗告訴訟が許されるか否かは学説,判例上争いのあるところであるが,最近では,三権分立論の機械的な適用による無名抗告訴訟否認論よりも,一定の要件のもとでその許容性を肯定しようとする見解が有力である。…

※「無効等確認の訴え」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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