無沙汰(読み)ブサタ

デジタル大辞泉 「無沙汰」の意味・読み・例文・類語

ぶ‐さた【無沙汰/不沙汰】

[名](スル)
長い間訪問や音信をしないこと。無音ぶいん。「―をわびる」「久しく御―しました」
処置指図などをしないこと。
「是を―にてさしおかば」〈太平記・三三〉
注意をおこたること。不用意になること。
「よしよし御灯は暗くとも、和光の影はよもじ曇らじ。あら―の宮守どもや」〈謡・蟻通
関心を持たないこと。事情にうといこと。
「京都の好士の中にも―にて仕うまつる人も侍るかな」〈吾妻問答
なおざりにすること。ほうっておくこと。
「先祖子孫の恥辱なり。皆大夫めが―故」〈浄・用明天王
[類語]無音ぶいん久闊きゅうかつ梨のつぶて音信不通

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「無沙汰」の意味・読み・例文・類語

ぶ‐さた【無沙汰・不沙汰】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 )
  2. 処置や指図などをしないでおくこと。そのままにほうっておくこと。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「他公卿等皆悉遅参、世間事近来如此、極不便歟、是依無沙汰也」(出典:殿暦‐康和五年(1103)正月一六日)
  3. 事情にうといこと。注意をはらわないこと。また、そのさま。無関心。迂闊(うかつ)
    1. [初出の実例]「世間の事は、無下(むげに)無沙汰(ブサタ)也」(出典:米沢本沙石集(1283)五本)
  4. すべきことを十分にしないこと。おろそかにすること。なまけること。また、そのさま。いいかげん。粗略。怠慢。
    1. [初出の実例]「近比、無沙汰の智了房といふものありけり。能書にてなむ侍ける」(出典:古今著聞集(1254)一六)
  5. 訪問や音信などをしないでいること。長い間挨拶や便りを怠って礼儀に反すること。また、そのさま。不義理。
    1. [初出の実例]「公私の忩劇に思ひわすれ、今も無沙汰なり」(出典:平治物語(1220頃か)下)
  6. ことわりなしに物事をすること。勝手に行なうこと。また、そのさま。無断。
    1. [初出の実例]「道ならぬとは知りながら、無沙汰(ブサタ)に家を出ましたわいなあ」(出典:歌舞伎綴合於伝仮名書高橋お伝)(1879)序幕)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の無沙汰の言及

【沙汰】より

…(b)年貢などを徴収または納付する(年貢を沙汰する)。これを怠る行為や状態は無沙汰といわれる。(3)とくに中世的な法律用語としては,是非善悪を論じ子細を明らかにするという原意があって,(a)裁判,訴訟のこと。…

※「無沙汰」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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