煽・呷(読み)あおる

精選版 日本国語大辞典 「煽・呷」の意味・読み・例文・類語

あお・る あふる【煽・呷】

[1] 〘他ラ五(四)〙
① 風などが吹いたり、風を起こしたりして物を動かす。翻す。吹き動かす。
※玉塵抄(1563)一二「皷翅して翬々然たりとは、はをあをって飛たことぞ」
火気を盛んにするため、うちわなどを動かして風を起こす。また、そのような動作で板などを動かす。〔日葡辞書(1603‐04)〕
③ ものごとを激しい勢いで動かす。ものごとに勢いをつける。
微温(1909)〈水野葉舟〉五「おさよはぢっとして居られないやうに、心が煽(アフ)られた」
④ 自分の思うようにさせるためにおだてそそのかす。扇動する。また、相手を圧倒して自分の思いどおりにさせる。
※人情本・花の志満台(1836‐38)二「船公、其様(そんな)に煽(アフ)ってくれめえよ」
※落語・玉の輿(1894)〈禽語楼小さん〉「手綱を持って扇動(アヲ)ると馬がひょこひょこ歩行(あるく)から」
⑤ (呷) 酒などを一気に飲む。仰向いてぐっと飲む。
洒落本辰巳婦言(1798)宵立の部「夫だからおらアぐい呑はしねへ。てめへこそ時々疳積(かんしゃく)で青(アヲ)るじゃアねか」
⑥ 取引相場で、相場を思惑通りに変動させるため、大量に売り、または買いを行なう。〔取引所用語字彙(1917)〕
カメラに「あおり(煽)⑧」をつける。また、低い位置から上向きにして写す。
[2] 〘自ラ五(四)〙 風などのために物が動く。
多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉後「階子口(はしごぐち)への通路の扉(ひらき)が翻(アフ)ってゐるので」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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