熊襲・熊曾(読み)くまそ

精選版 日本国語大辞典 「熊襲・熊曾」の意味・読み・例文・類語

くま‐そ【熊襲・熊曾】

[1] 大化前代におけるクマとソとの複合の地名。古くは九州南半、日向・大隅・薩摩地方(宮崎県、鹿児島県)に当たる。令制下の行政区画には、クマに当たるものとして肥後国球磨(くま)郡(熊本県球磨郡、人吉市)の名があり、ソは大隅国贈於(そお)郡(鹿児島県曾於郡西部、姶良郡東部、国分市)の名がある。
※古事記(712)上「熊曾(くまソ)の国は建日別(たけひわけ)と謂ふ〈曾の字は音を以ゐる〉」
[2] 〘名〙 (一)の地域に居住したと伝えられる非農耕民集団。記紀によれば大和政権にしばしば反抗したとされるが、中国の中華思想の影響を受けて、東の蝦夷とともに、西の辺境における化外の異族として意識されたものと見られる。景行天皇の皇子小碓尊(おうすのみこと)に討たれ、尊に日本武(やまとたける)の名を献じたという熊襲首魁(しゅかい)川上梟帥(かわかみのたける)説話は名高い。古事記、風土記以降の史料には見えず、隼人(はやひと・はやと)とは同一と推定される。
書紀(720)景行一二年一二月(北野本訓)「朕(あれ)(き)襲国(くまそのくに)厚鹿文(あつかや)・迮鹿文(せかや)といふ者有り是(こ)両人(ふたり)は熊襲(クマソ)の渠帥者(いさをのもの)なり」

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