片名(読み)カタナ

デジタル大辞泉 「片名」の意味・読み・例文・類語

かた‐な【片名/偏名】


㋐2字で成り立っている名の片方の字。偏諱へんき
「我が―に父が―を取って経春とつくべし」〈盛衰記・三六〉
俳号などで、2字以上の場合、略して1字を書くもの。例えば「去来」を「来」と記す類。
「―書き侍るに、ことごとしき字形は苦しかるべし」〈去来抄・故実〉
名を略して呼ぶこと。また、その略称。「紀国屋文左衛門きのくにやぶんざえもん」を「紀文」とよぶ類。片名字かたみょうじ
(「肩名」とも書く)名前の上に添える称号で、あだなのようなもの。
「寺々へ、仕事に入って―に呼ばれ、しかも大寺正兵衛といふ」〈伎・小袖曽我

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精選版 日本国語大辞典 「片名」の意味・読み・例文・類語

かた‐な【片名・偏名・肩名】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 二字で成り立っている名の一方の字。偏諱
    1. [初出の実例]「名乗りは、我が片(カタ)名に父が片名を取って、経春と附くべし」(出典:源平盛衰記(14C前)三六)
  3. 名が二字以上の場合、略して一字だけを書くこと。俳号などでよく用いられ、普通、下の一字を用いる。「去来」を「来」と書く類。
    1. [初出の実例]「俳名は〈略〉片名書き侍るに、ことごとしき字形は苦しかるべし」(出典:俳諧・去来抄(1702‐04)故実)
  4. 名の冒頭の音を取って呼ぶ略称。「曾禰丹後掾好忠」を「曾丹後」「曾丹」と呼ぶ類。〔類聚名物考(1780頃)〕
    1. [初出の実例]「元祿の比、紀伊国屋文左衛門〈略〉片名に呼びて紀文といふ」(出典:随筆・蜘蛛の糸巻(1846)一八大通)
  5. ( から転じた語。また、肩書つきの名の意かともいう。「肩名」と表記することが多い ) 名前の上につける称号。あだなのようなもの。
    1. [初出の実例]「人の物は我物と、濡手で安房から上総下総、常陸をかけて寺寺へ、仕事に這入って片名に呼れ」(出典:歌舞伎・小袖曾我薊色縫(十六夜清心)(1859)序幕)

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