牧場(読み)マキバ

デジタル大辞泉 「牧場」の意味・読み・例文・類語

まき‐ば【牧場】

牛・馬・羊などの家畜放し飼いにする場所。まき。ぼくじょう。
[類語]牧場ぼくじょう

ぼく‐じょう〔‐ヂヤウ〕【牧場】

牛・馬・羊などの家畜を放牧する設備をもった場所。まきば。
[類語]牧場まきば

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精選版 日本国語大辞典 「牧場」の意味・読み・例文・類語

まき‐ば【牧場】

  1. 〘 名詞 〙 牛・馬・羊などを放し飼いにしておく場所。牧。ぼくじょう。
    1. [初出の実例]「又若し秣草(まぐさ)を仕立て、牧場(マキバ)となしたらは」(出典:西洋開拓新説(1870)〈緒方正訳〉地形三)

ぼく‐じょう‥ヂャウ【牧場】

  1. 〘 名詞 〙 牛、馬、羊などを放牧するのに必要な草地や設備のある場所。まきば。
    1. [初出の実例]「牧場には牛羊鶏豚繁息す」(出典:米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉一)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「牧場」の意味・わかりやすい解説

牧場
ぼくじょう

牧野、畜舎、そのほか家畜の飼養管理に必要な設備のある場所で、そこで家畜を飼うことによって土地の生産する植物生産を動物生産に変換する所をいう。一般に草食家畜であるウシウマヒツジなどを飼育の対象とするが、そのほかの家畜や家禽(かきん)を同一施設内で飼うこともある。牧場は、家畜の飼養目的、飼養家畜によって次のような種類がある。一つは優秀な基礎畜を置いて家畜の改良、増殖を図り、優良種畜の生産と供給を行う種畜生産牧場(ブリーダー)で、日本では民有は少なく、公立の家畜改良センターが主体である。ほかの一つは専業牧場で、競走馬などを生産するウマ専業牧場、家畜の生産物を供給するものとして搾乳牛だけで経営を維持している搾乳専業牧場、肉牛専業牧場、羊毛や羊肉生産用のヒツジを飼養するヒツジ専業牧場などがある。ただし、都市近郊の小規模の搾乳業者のように、飼料の自給をまったく行っていないものは牧場とはいえない。これらの専業牧場に対して、ほかの部門、ほかの家畜と副業的ないし複合的に経営している牧場もある。とくにニワトリを専門に飼育する場所は、牧場としての条件を満たすものでも種鶏場あるいは養鶏場とよび、牧場と区別されている。

 牧場のおもな施設としては、家畜を入れる畜舎とそれに付随する分娩(ぶんべん)用、育成用、隔離用などの畜舎、サイロなどの飼料庫および飼料調整室、パドック、水浴場、生産物処理・加工場、そのほか農機具舎、堆肥(たいひ)舎、収納庫などの建物がある。また牧場にとってもっとも重要な設備として、飼料生産場である採草地、飼料畑、それに放牧場があり、放牧地には牧柵(ぼくさく)、給水場、給塩場、庇陰(ひいん)林などが必要である。牧場の広さは家畜の種類や頭数、飼養目的などによって異なるが、ウシ、ウマなどの大家畜では1頭当り1ヘクタールが必要とされ、放牧する場合は1頭当り30アール以上の牧草地を必要とする。しかし搾乳や肉牛の肥育などを目的とした牧場では集約的なものが多い。

 牧場に適した立地条件は、高燥で排水がよく傾斜が少ないこと(放牧場として30度以上、採草地として40度以上の斜面は利用できない)、石灰・リン酸に富み、あまり酸性の強くない土質であること、水源が確保されていて多量の清水が得られること、飼料や生産物の運搬などに便利であること、家畜の健康に適した気候であること、などである。

 「牧場」は、とくに文学的表現をされるとき、「まきば」と読まれることもある。

[西田恂子]

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改訂新版 世界大百科事典 「牧場」の意味・わかりやすい解説

牧場 (ぼくじょう)

牧野を保有して家畜を繫養(けいよう)し,乳,肉,卵,毛などの畜産物を生産したり,家畜の繁殖を行ったりするところを牧場と呼ぶ。つまり,土地の生産する植物生産を動物生産に切り替える場で,農場とは経営の主体が動物生産(畜産)におかれている点が異なる。都市近郊の搾乳業者で牧場の名を用いている例もあるが,飼料生産を行っていない経営は牧場の定義に合致しない。牧場をその目的によって分類すると,優秀な基礎畜を繫養して特別な系統繁殖を行い,改良に役だつ種畜の生産,供給を目的とする種畜牧場,発育期にある家畜を一定期間あずかって牧野に放牧し管理する育成牧場,実用畜を飼養して生産物の供給販売を目的とする生産牧場などに分けられる。最近は観光客による収入を経営基盤とする観光牧場というものも現れているが,本来の牧場とは若干性格を異にする。牧場の施設としては,家畜を収容する畜舎(分娩房,育成房,隔離畜舎を含む),衛生室,堆肥舎,農機具舎,飼料庫,調整室,サイロなどが必要である。種畜牧場ならば,人工授精のための枠場や精液の処理室がなければならず,乳牛の牧場には搾乳舎や牛乳処理室が必要となる。飼料生産のための採草地,放牧地,飼料畑には牧柵,給水場,庇陰(ひいん)林を設ける。牧野の広さはふつう大家畜1頭で0.5~1haあればよい。牧場に適した土地の条件を列挙すると,(1)土地が高燥で,排水のよいこと,(2)傾斜の少ないこと(放牧地としては30度以上の斜面は利用できない),(3)土質は石灰,リン酸に富み,酸性でないこと,(4)飼料,資材の運搬,生産物の消費地への輸送のため,交通の便のよいこと,(5)気候が家畜の健康維持に適していることなどの諸点があげられる。
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普及版 字通 「牧場」の読み・字形・画数・意味

【牧場】ぼくじよう(ぢやう)

牛馬の放牧地。〔魏書、食貨志〕高位の後、復(ま)た河陽を以て牧場と爲し、恆(つね)に戎馬十匹を置き、以て京師軍の備へに擬(ぎ)す。

字通「牧」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「牧場」の意味・わかりやすい解説

牧場
ぼくじょう

牛,馬,羊などの家畜を飼育,管理するため放し飼いにする場所。普通,畜舎,衛生室,堆肥舎,サイロなどの付属施設のほかに牧柵,給水場や庇陰林,防風林などを設ける。立地条件としては,土地は高燥,土質は牧草栽培に適し,傾斜は少く,排水がよく,水利の便がよいことがあげられる。牧場を用途別に見ると種畜の育成・供給をする種畜牧場,実用種の育成・供給販売をする生産牧場,発育期の家畜の委託管理育成をする育成牧場,観光牧場などに分けられる。

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世界大百科事典(旧版)内の牧場の言及

【牧】より

…近世に存在した隠岐の牧畑などは,このような過程で生まれた耕牧輪転の特殊な牧であるが,一般には村および民衆の利用する規模のより小さい牧が多くなる。そして民衆が共同で牛を放牧する大牧場(おおまきば)のほかに,より小規模の個人牧場としての小牧場(こまきば)も出現してくる。 これに対し幕府諸藩もそれぞれ公の牧を設け,牛馬の飼育に努めた。…

※「牧場」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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