狼瘡(読み)ロウソウ(その他表記)lupus

翻訳|lupus

デジタル大辞泉 「狼瘡」の意味・読み・例文・類語

ろう‐そう〔ラウサウ〕【××瘡】

結核菌血行により運ばれ、全身皮膚、特に顔面組織破壊されて結節潰瘍かいよう瘢痕はんこんなどができる病気尋常性狼瘡
紅斑性こうはんせい狼瘡」の略。→エリテマトーデス

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精選版 日本国語大辞典 「狼瘡」の意味・読み・例文・類語

ろう‐そうラウサウ【狼瘡】

  1. 〘 名詞 〙 顔面、特に鼻先鼻翼に始まり、鼻中隔口唇四肢にまで進展する皮膚結核。黄赤色から紅褐色の小斑に始まり、円形楕円形の赤褐色斑となる。日本ではまれ。尋常性狼瘡。〔改正増補和英語林集成(1886)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「狼瘡」の意味・わかりやすい解説

狼瘡 (ろうそう)
lupus

オオカミ(狼)にくいちぎられてできたような状態を呈する慢性潰瘍というところから由来した名前で,二つの主要な病気が含まれる。その第1は尋常性狼瘡で皮膚結核の代表的なものであり,第2は紅斑性狼瘡(エリテマトーデスともいう)という代表的な膠原病(こうげんびよう)である。ここでは尋常性狼瘡について述べる。紅斑性狼瘡については〈エリテマトーデス〉の項目を参照されたい。尋常性狼瘡の好発部位はほおや鼻であるが,ときには上肢臀部,肛門周囲なども侵される。狼瘡小結節という黄褐色をした小結節が集合し,紅色をおびた局面となり,中央に潰瘍,瘢痕はんこん)を生ずる。自覚症状はない。顔面では長年月の後,眼瞼外反や外鼻,口唇の変形を起こすことがある。非常に慢性で,徐々に進行拡大するが,肺結核を合併することはまれ。抗結核剤によって軽快治癒するので,現在は少なくなった。瘢痕を残し,まれにこの瘢痕の上に皮膚癌を生ずることがある。これを狼瘡癌という。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「狼瘡」の意味・わかりやすい解説

狼瘡
ろうそう

組織の破壊の激しい慢性の皮膚病。尋常性狼瘡(皮膚結核)と紅斑(こうはん)性狼瘡(エリテマトーデス)がある。

[野波英一郎]

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百科事典マイペディア 「狼瘡」の意味・わかりやすい解説

狼瘡【ろうそう】

侵食性の皮膚病変の総称。狭義には尋常性狼瘡をいう。尋常性狼瘡は皮膚結核の一つで,小児や青年の顔面に好発。結節,潰瘍(かいよう),浮腫様肥厚などにより顔面が変形する。しばしば骨・軟骨をも冒して鼻などが欠損する。慢性に経過し,病変部に癌(がん)を発生することもある。治療は,抗結核薬投与など。

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