デジタル大辞泉
「玉垣」の意味・読み・例文・類語
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たま‐がき【玉垣】
〘名〙 (「たま」は美称。古くは「たまかき」)
① 神社・皇居の周囲にめぐらした垣。
斎垣(いがき)。
瑞垣(みずがき)。
※
古事記(712)下・
歌謡「みもろに 築
(つ)くや多麻加岐
(タマカキ) 斎
(つ)き余し 誰
(た)にかもよらむ 神の宮人」
※米沢本沙石集(1283)一「四重の万だらをかたどりて、玉がき・水がき・あらがきなむど重々に」
② 兜(かぶと)の鉢の縁に巻いた帯金物。腰(こし)。
③ 紋所の名。①を図案化したもの。
[語誌](1)
方形の木に貫を通したものを「
角玉垣」、厚板を用いたものを「
板玉垣」といい、木の皮を削らずにそのまま用いた「
黒木玉垣」に対して、これらを
本式とする。その他、
石造りのものや、朱塗りの「朱
(あけの)玉垣」などがある。
伊勢神宮は四重の垣を持ち、内から「瑞垣
(みずがき)」「
内玉垣」「
外玉垣」「板玉垣」という。
(2)「万葉集」には詠まれておらず、八代集でも「あけの玉がき」が二例、「
みつの玉がき」が
一例あるのみである。「和歌初学抄」に「
物名〈略〉垣 あけのたまがき たまがき みづのたまがき(已上神垣也)」とあるように、神社の垣をいうことが多く、松や
白木綿(しらゆう)を配して歌に詠むことも多い。
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玉垣 (たまがき)
玉籬,玉墻とも書く。神社の社殿もしくは境内の周囲にめぐらす垣。瑞垣(みずがき)ともいう。玉,瑞は美称である。玉垣の造りは,方形の木に貫を通し(角玉垣),あるいは,厚い板を用いる(板玉垣)のを本式とするが,木の皮を削らずそのまま用いたもの(黒木玉垣),朱塗りのものや石造もある。垣を二重に設けたときは,内を瑞垣,外を玉垣または荒垣という。伊勢神宮は,内から瑞垣,内玉垣,外玉垣,板玉垣の四重になっている。
執筆者:沼部 春友
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玉垣
たまがき
神社の聖域を囲む垣。斎垣(いがき)、瑞垣(みずがき)あるいは荒垣(あらがき)ともいう。伊勢(いせ)神宮では垣が幾重にも巡るが、外側から荒垣(板垣)、玉垣、瑞垣とよび区別している。玉垣には厚板を立て並ベた板玉垣や、木柵(もくさく)または石柵だけの簡素なものがある。中世以降になると、玉垣として柱を立て屋根をかけた塀もつくられるようになり、腰は板張りとするが、上は欄間(らんま)にして格子や襷桟(たすきさん)を入れるものがみられる。これを透塀(すきべい)ともいう。
[工藤圭章]
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玉垣【たまがき】
神社の本殿の周囲または境内の境界にめぐらした垣。木・石等で作る。伊勢神宮では4重にめぐらし,本殿に近い垣から順に瑞垣(みずがき)・内玉垣・外玉垣・板垣と呼ぶ。一般に素材のままであるが,赤く塗ったものを特に〈朱(あけ)の玉垣〉と呼ぶ。
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世界大百科事典(旧版)内の玉垣の言及
【垣】より
… 日本における木造の垣の古い形式は,伊勢神宮の神殿の周囲に見られる。最も内側にあるのは,厚板を密に縦に並べた〈瑞垣(みずがき)〉,つぎは角材を柵状に組んだ〈内玉垣〉,さらに丸太を柵状に組んだ〈外玉垣〉があり,最も外側に板塀状の〈板垣〉がある。先端を三角形にとがらせた厚板を密に縦に並べた瑞垣は,春日大社などで用いられ,また中世の絵巻物にも多く描かれているので,古い時代の神社では非常に多く用いられたと考えられる。…
※「玉垣」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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