瓦塔(読み)がとう

精選版 日本国語大辞典 「瓦塔」の意味・読み・例文・類語

が‐とう グヮタフ【瓦塔】

〘名〙 須恵器(すえき)塔婆(とうば)。各層ごとに焼いて組み立てたもの。奈良・平安時代の寺あとや、窯(かま)あとなどから出土する。寺院建立の予定地に建てたもの、木造の大型塔婆の代用としたもの、または墳墓上に供養塔として建てたものなどの諸説がある。東京都東村山市から出土の約二メートルの五重塔が有名。

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改訂新版 世界大百科事典 「瓦塔」の意味・わかりやすい解説

瓦塔 (がとう)

木造高層塔婆を写して焼かれた仏塔一種で,やや軟質の瓦製から硬い須恵器質のものまで,さまざまのものがある。通例,1.5~2.0mの高さのものが多く,塔身部,屋蓋,九輪,水煙の各部分に焼き分けられていて,五層塔が一般的である。完全に近い形を示すものとして,東京都東村山市廻田(めぐりた)および静岡県浜松市の旧三ヶ日町宇志出土の復元五層塔がよく知られている。出土分布は宮城県から熊本県までほぼ日本全域に及んでおり,百二十数例が知られているが,群馬県30例,埼玉県22例など,関東地方のみで過半数を超えている。年代的には奈良時代後半から江戸時代まで長期間にわたるが,平安時代前期までで8割以上を占め,その時代性を示している。出土遺跡は寺院跡,墳墓が多く,焼成した窯跡も30例近く知られている。瓦塔造立の趣意として,衆縁勧募説,造塔信仰説,塔婆代用説,墳墓標識説などあるが,その性格はまだ不明といわざるを得ない。
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世界大百科事典(旧版)内の瓦塔の言及

【塔】より

…西洋建築の輸入以来,洋風の建物では,建物の中心などに塔状の部分,たとえば時計塔などを設けるものも多く造られたが,近代建築の興隆以来,機能的な見地から装飾的な塔は好まれず,また市街地では土地の利用上,制限いっぱいの軒高を取るため,塔を設けることは少なくなった。 仏塔は仏教建築として輸入されたもので,材料は木や石が多く,鉄塔,銅塔,瓦塔,泥塔,あるいは紙に描いた画塔,印塔などもある。木造塔は多層塔(3,5,7,9,13層)と多宝塔が普通である。…

※「瓦塔」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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