甚振る(読み)イタブル

デジタル大辞泉 「甚振る」の意味・読み・例文・類語

いた‐ぶ・る【甚振る】

[動ラ五(四)]
激しく揺り動かす。
「枝も幹も凄まじい音をたてて、一度に風から―・られるので」〈漱石・彼岸過迄〉
おどして金品をとる。また、痛め付けたり、嫌がらせをする。ゆする。「たちの悪い相手に―・られる」
激しくゆれる。
「風をいたみ―・る波の間なくが思ふ君は相思ふらむか」〈・二七三六〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「甚振る」の意味・読み・例文・類語

いた‐ぶ・る【甚振】

  1. ( 「いた」は形容詞「いたい」の語幹から )
  2. [ 1 ] 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙 物が激しく揺れ動く。はなはだしく動揺する。
    1. [初出の実例]「風をいたみ甚振(いたぶる)波の間(あひだ)無くあが思ふ君は相思ふらむか」(出典万葉集(8C後)一一・二七三六)
  3. [ 2 ] 〘 他動詞 ラ行五(四) 〙
    1. 激しく揺り動かす。
      1. [初出の実例]「いたぶりて寝る鴨起せ春の海〈長翠〉」(出典:俳諧・発句類聚(1807)春)
    2. 金品などを無理にねだる。ゆする。
      1. [初出の実例]「いわうかと下女をいたぶる樽ひろひ」(出典:雑俳・柳多留‐一一(1776))
    3. いじめる。いやがらせをする。
      1. [初出の実例]「辨天島の綺麗な後家神に、いたぶられたらう、ぐずぐずしよると生命がないぞ」(出典:黒雨集(1923)〈田中貢太郎〉牡蠣船)

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