生き仏(読み)イキボトケ

デジタル大辞泉 「生き仏」の意味・読み・例文・類語

いき‐ぼとけ【生き仏】

高徳の僧など、生きたまま、仏としてあがめられる人。また、仏のような心を持った徳のある人。生き如来。生き菩薩ぼさつ
容姿のうるわしい女性。生き如来生き菩薩
[類語]名僧高僧聖人聖者聖女聖賢聖哲四聖君子仁者生き神

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精選版 日本国語大辞典 「生き仏」の意味・読み・例文・類語

いき‐ぼとけ【生仏】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 生きている仏。生身の仏。転じて、高徳の僧など、生きている仏とあがめられる人。生き如来。生き菩薩
    1. [初出の実例]「この二人、おのおの貴くて、いき仏なり」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)五)
  3. 容姿の美しい女。生き如来。生き菩薩。
    1. [初出の実例]「腸(わた)持の彌陀如来か、いきぼとけよ、など只口も無くわめく程に」(出典仮名草子浮世物語(1665頃)一)

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改訂新版 世界大百科事典 「生き仏」の意味・わかりやすい解説

生仏 (いきぼとけ)

高徳の僧または慈悲深い人を指す場合と,生けるがごとき仏像を指す場合とがある。高徳の僧の場合は持戒堅固であることが生仏の第一条件で,〈せぬは仏,かくすは上人〉などともいわれた。笠置山の貞慶(じようけい)(解脱上人)や栂尾山の高弁(明恵(みようえ)上人)などは,その持戒堅固のゆえに生仏といわれた高僧である。また修験の験力がすぐれているために生仏といわれた僧もあり,一乗寺僧正増誉(ぞうよ)(聖護院開山)と三室戸(みむろと)僧正隆明(りゆうみよう)は験力がすぐれ,〈此二人おのおのたふとくて,いきぼとけなり〉(《宇治拾遺物語》巻五)といわれた。しかしそうかといって完全無欠な人格であったというわけではない。慈悲深い人,柔和で怒らぬ人もよく生仏のような人といわれるが,遊女を生仏とする思想もある。《撰集抄》巻五の性空(しようくう)上人と室(むろ)の遊女の物語がそれで,遊女は生身(しようじん)の普賢菩薩であったという。仏像に対しても人肌の観音とか生身の大日といって,生仏とすることがある。
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