生成(読み)セイセイ

デジタル大辞泉 「生成」の意味・読み・例文・類語

せい‐せい【生成】

[名](スル)
ものができること。また、ものを新たにつくり出すこと。「薬品を生成する」
哲学で、事物がある状態から他の状態になること。また、その過程。転化。
[類語]発生誕生出来る起こる始まる起きる生ずる生まれるきざ発する生起する湧く

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精選版 日本国語大辞典 「生成」の意味・読み・例文・類語

なま‐なり【生成】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 形動 ) 十分にできあがっていないこと。未熟であること。また、そのさまや、そのもの。
    1. [初出の実例]「此ほと秦は彊て新造之趙とてまたなまなりで」(出典:史記抄(1477)六)
  3. (ふな)や鮎(あゆ)などで作る熟鮨(なれずし)の、十分に熟(う)れていない半熟の状態。また、その状態で食べる鮨。一説に、早鮨(はやずし)一夜鮨。なまなりずし。なまなれ。
    1. [初出の実例]「生成三十、例年進上之」(出典:殿中申次記(15C末‐16C中か))
  4. 能面の一つ。小さな角を生やし、髪を乱した女面で、怨霊を表わす。「般若(はんにゃ)」になりきっていないもので、「鉄輪(かなわ)」の後シテにだけ用いる。〔八帖花伝書(1573‐92)〕

せい‐せい【生成】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ものができること。また、ものを生じさせること。しょうじょう。せいじょう。
    1. [初出の実例]「陰陽成(セイ)生して、正哉吾勝勝々速日天忍穂耳尊を生み給ふ」(出典:太平記(14C後)二五)
    2. [その他の文献]〔杜甫‐屏跡詩〕
  3. 育つこと。成長すること。
    1. [初出の実例]「幼時病身にて中々生成したまふべきに非ず」(出典:随筆・文会雑記(1782)二)
  4. 哲学で、静止、不変、存在に対する概念で物がその状態を変えて、他の状態に変化する過程、あるいは非存在が存在となる過程をいう。転化。成。
    1. [初出の実例]「無は人間ではない、むしろそこから芸術における人間の生成があると考へられるところの根源である」(出典:ネオヒューマニズムの問題と文学(1933)〈三木清〉三)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「生成」の意味・わかりやすい解説

生成
せいせい
becoming 英語
devenir フランス語
Werden ドイツ語

運動や変化とともに、静止、不変、存在に対する哲学原理アリストテレスの哲学では、場所運動、増減(量変化)、性質変化と並び、実体のカテゴリーに関する変化と定義された。非存在が存在となる過程が生成である。そこで、存在と生成のいずれをより根源的であるとするかによって、哲学流派の間にもっとも根本的な対立が生ずる。戦いが万物の父であるとしたヘラクレイトスは生成の哲学を代表するものであり、生成は非存在の存在を許す不合理を含むという理由で、生成を否定したパルメニデスは存在の哲学の代表者である。生成と存在の問題は、哲学にもっとも根源的な思索を要求する永遠の問題である。

[加藤信朗]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「生成」の意味・わかりやすい解説

生成
せいせい
becoming; devenir; Werden

広義には存在者におけるあらゆる変化をさし,狭義には消滅と対立して存在者の存在もしくは存在形式,様態などの発生を意味する。存在と生成の関係はきわめて古い問題であるが,生成は一般に同一基体上の性質の変化と,基体にあたる存在者の発生とを相対的にみて同じ見方で論じる立場が有力であった。アリストテレス-トミズムの現実態可能態体系では,生成とは,可能態が現実態へと移行することであり,この過程の終極は生成するものに内在するエンテレケイアである。生成現象の最終的原因はアリストテレスにおける第一動者であり,スコラはこれを神とみなした。近代ではヘーゲルが生成を基本原理とする動的な哲学体系を立てた。

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普及版 字通 「生成」の読み・字形・画数・意味

【生成】せいせい

そだつ。

字通「生」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の生成の言及

【すし(鮓∥鮨)】より

… 室町時代は日本のすしに大きな画期をもたらした時代である。前代からの馴れずしはウナギ,ドジョウ,ナマズなど新しい材料を加えて盛んにつくられていたが,同時に馴れずしでは食べなかった飯を食べるものにした生成(なまなれ∥なまなり)というすしが発明されたのである。ウナギの馴れずしは宇治丸(うじまる)とも呼ばれた。…

※「生成」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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