生抜(読み)はえぬき

精選版 日本国語大辞典 「生抜」の意味・読み・例文・類語

はえ‐ぬき【生抜】

〘名〙
① その土地に生まれて、ずっとその土地で成長したこと。また、生まれてから、ずっとそれをしていること。生まれてより以来。きっすい。
※拘幽操師説(18C初)「あしければあしいにつけて、いよいよかわゆいも、親子一体の、はへぬきゆへぞ」
② 転じて、初めからずっとそこに勤務して今に至ること。
春泥(1928)〈久保田万太郎三羽烏古い、生抜(ハエヌ)きの座員
③ 野に自然に生えているものなどを抜き取ること。
山吹(1944)〈室生犀星〉一「萩、かるかや、われもこう、薄など野の生え抜きのものをあつかった庭さき」

はえ‐ぬ・く【生抜】

〘自カ四〙
① はえて上に突き抜ける。草木が雪などの上に抜け出る。
※俳諧・芭蕉庵小文庫(1696)「木曾の情雪や生ぬく春の草」
② その土地に生まれ、そこを離れないで成長する。生まれたときからの性質を保つ。
※拘幽操師説(18C初)「身からはへぬいて、雁は虫になっても北ゑゆく」

なま‐ぬか・る【生抜】

〘自ラ四〙 (「なま」は接頭語)
① なんとなく油断して失敗する。
浄瑠璃・松風村雨束帯鑑(1707頃)うばぞろへ「なまぬかって侮られな」
② いやに間の抜けたところがある。
※虎寛本狂言・禰宜山伏(室町末‐近世初)「あのなまぬかった禰宜めが、某に一礼もせいで」

いき‐ぬ・く【生抜】

〘自カ五(四)〙 苦しみなどに耐えて、どこまでも生き通す。
※奇病患者(1917)〈葛西善蔵〉「僕はやはり都会で生きたいのです、生き抜きたいのです」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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