生死（読み）ショウジ

デジタル大辞泉

しょう‐じ〔シヤウ‐〕【生死】

《「しょうし」とも》
１ 生きることと死ぬこと。生と死。「生死を共にする」
２ 仏語。衆生しゅじょうが生まれては死に、死んでは生まれる苦しみ・迷いの世界。輪廻りんね。
３ 死ぬこと。死。
「―の到来ただ今にもやあらん」〈徒然・四一〉
[類語]生死せいし・死生・死命・死活・生殺・活殺・生き死に

せい‐し【生死】

生きることと死ぬこと。生と死。いきしに。しょうじ。「生死をともにする」「生死の境をさまよう」「生死不明」
[類語]生死しょうじ・死生・死命・死活・生殺・活殺・生き死に

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

しょう‐じシャウ‥【生死】

1. 〘 名詞 〙
2. ① ( [梵語] saṃsāra の訳語。輪廻(りんね)とも訳す ) 仏語。生まれ変わり死に変わりして輪廻すること。
   1. [初出の実例]「生死有_二二種_一」(出典：勝鬘経義疏（611）歎仏真実功徳章)
   2. 「生死のなかに仏あれば、生死なし」(出典：正法眼蔵（1231‐53）生死)
   3. [その他の文献]〔大智度論‐三八〕
3. ② 生きることと死ぬこと。また、生かすことと殺すこと。いきしに。せいし。
   1. [初出の実例]「今日の命の生死、只、汝を憑(たの)む所也」(出典：今昔物語集（1120頃か）五)
   2. [その他の文献]〔日葡辞書（1603‐04）〕
   3. 「鶴は岨(そば)を滾落(まろびおち)て、生死(セウシ)もしらずなりし事」(出典：読本・椿説弓張月（1807‐11）拾遺)
4. ③ 生まれてから死ぬまでのあいだ。生きている間。一生。生涯。また、生命。
   1. [初出の実例]「しゃうし限りあり。遁るべからず」(出典：曾我物語（南北朝頃）一)
5. ④ ( 「生」より「死」に重きをおいて ) 死ぬこと。死。
   1. [初出の実例]「このたびの集に十首入りて侍り。これ過分の面目なる中にも、此哥の入りて侍るが、生死の余執ともなるばかり嬉しく侍るなり」(出典：無名抄（1211頃）)

いき‐しに【生死】

1. 〘 名詞 〙
2. ① 生きることと死ぬこと。生きているか、死んでいるかの別。せいし。しょうじ。
   1. [初出の実例]「ただいきしにをつけさせ給へと申させ給ければ」(出典：栄花物語（1028‐92頃）玉の飾)
   2. 「そして生死(イキシニ)も知れはしないから〈略〉心は尼にでもなった気で居るは」(出典：人情本・英対暖語（1838）四)
3. ② 囲碁の勝負。碁石の生死。
   1. [初出の実例]「あはれとて手を許せかしいきしにを君にまかする我が身とならば」(出典：源氏物語（1001‐14頃）竹河)
4. ③ 命をかけるほどのこと。情熱的な様子。
   1. [初出の実例]「いきしにのねへ女郎はきれへだ」(出典：洒落本・通言総籬（1787）二)

せい‐し【生死】

1. 〘 名詞 〙 生きることと死ぬこと。生まれることと死ぬこと。生きているか死んでいるか。死生。いきしに。しょうじ。
   1. [初出の実例]「天地無_二始終_一、人生有_二生死_一」(出典：山陽詩鈔（1833）一・癸丑歳偶作)
   2. 「素破と云ふとき先生と生死を倶にすると云ふやうな者が、およそ幾人ぐらゐござるかな」(出典：正雪の二代目（1927）〈岡本綺堂〉一)
   3. [その他の文献]〔史記‐倉公伝〕

出典　精選版 日本国語大辞典

普及版 字通

【生死】せいし

生き死に。梁・任〔郡の伝舎を出でて、僕射（雲）を哭す〕詩　(くわん)を結ぶ（交わる）こと三十載　生死、を一にす

字通「生」の項目を見る。

出典　平凡社「普及版 字通」

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

生死
しょうじ

仏教用語。生命体が成立することと，生命体が活動を停止すること。仏教では，生きとし生けるものは母胎に胎児として宿ったときから絶えず生滅を繰返すとし，これを刹那の生死という。また，青年時代を経て死にいたることを一期 (いちご) の生死という。この生死を無限に繰返す状態が輪廻 (りんね) である。

出典　ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典