20世紀日本人名事典 「田中 小実昌」の解説
田中 小実昌
タナカ コミマサ
昭和・平成期の小説家,翻訳家
- 生年
- 大正14(1925)年4月29日
- 没年
- 平成12(2000)年2月27日
- 出生地
- 東京
- 学歴〔年〕
- 東京帝国大学文学部哲学科中退
- 主な受賞名〔年〕
- 噂賞(小説賞 第2回)〔昭和48年〕,直木賞(第81回)〔昭和54年〕「ミミのこと」「浪曲師朝日丸の話」,谷崎潤一郎賞(第15回)〔昭和54年〕「ポロポロ」
- 経歴
- 広島県呉市で育ち、東大中退後、戦後の混乱期をバーテン、テキ屋などをして過ごす。東京渋谷のストリップ劇場で働く。その頃の体験を描いた随筆集として「かぶりつきバカ」などがある。昭和54年「浪曲師朝日丸の話」「ミミのこと」で直木賞を受賞。また「ポロポロ」で谷崎潤一郎賞を受賞。ほかに「幻の女」「自動巻時計の一日」「コミサマ・ロードショー」「ご臨終トトカルチョ」「ふらふら日記」「浪曲師朝日丸の話」「アメン父」や西田幾多郎、柄谷行人などのことの小説集「ないものの存在」など。人生の悲哀をユーモア風に描く。翻訳家としても活躍し、訳書にブラウン「ストリッパー」などがある。トレードマークのベレー帽をかぶり、“コミさん”の愛称で親しまれ、映画やテレビに出演、ひょうひょうとしたコメントで人気を集めた。また映画の賞の審査員をするほど映画通でも知られた。晩年は糖尿病を患っていたが、海外旅行に出掛けることも多く、平成12年旅行先の米国で死去。
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報