田楽躍(読み)でんがくおどり

世界大百科事典(旧版)内の田楽躍の言及

【踊り】より

…舞が選ばれた者や特別な資格を持つ者が少人数で舞うのに対し,踊りはだれでもが参加できるため群をなす場合が多く,場も特殊な舞台を必要としない。近世以前には腰鼓や編木(びんざさら)を奏しつつ躍る田楽躍,鉦(かね)や念仏でおどる踊念仏,小歌を誦する小歌踊,飾りや歌にくふうをこらした風流(ふりゆう)踊などがあり,用いる楽器により太鼓踊,羯鼓(かつこ)踊,銭太鼓踊,採物(とりもの)や被(かぶ)り物の違いにより棒踊,傘踊,笠踊,灯籠踊,綾踊,コキリコ踊,目的の違いにより盆踊,七夕踊,田植踊,雨乞踊,形態によって鹿(しし)踊,七福神踊などさまざまな名称で呼ばれる。なお近世の歌舞伎舞踊は舞と踊りの要素を巧みに融合させた舞台芸能であるが,踊りの要素が濃い部分はとくに踊り地と称し,最後の華やかな多勢の手踊りなどを総踊りともいう。…

【田楽】より

…広義には稲作に関する芸能の総称として用いるが,狭義には田楽躍(おどり)を本芸とする職業芸能者が演じる芸能をいう。また田植の囃しや田楽躍に用いる太鼓を称する場合もある。…

【民俗芸能】より

…長年全国を踏査して多くの研究成果をあげた本田安次(1906‐ )は,これを整理して次のような種目分類を行った。 (1)神楽 (a)巫女(みこ)神楽,(b)出雲流神楽,(c)伊勢流神楽,(d)獅子神楽(山伏神楽番楽(ばんがく),太神楽(だいかぐら)),(2)田楽 (a)予祝の田遊(田植踊),(b)御田植神事(田舞・田楽躍),(3)風流(ふりゆう) (a)念仏踊(踊念仏),(b)盆踊,(c)太鼓踊,(d)羯鼓(かつこ)獅子舞,(e)小歌踊,(f)綾踊,(g)つくりもの風流,(h)仮装風流,(i)練り風流,(4)祝福芸 (a)来訪神,(b)千秋万歳(せんずまんざい),(c)語り物(幸若舞(こうわかまい)・題目立(だいもくたて)),(5)外来脈 (a)伎楽・獅子舞,(b)舞楽,(c)延年,(d)二十五菩薩来迎会,(e)鬼舞・仏舞,(f)散楽(さんがく)(猿楽),(g)能・狂言,(h)人形芝居,(i)歌舞伎(《図録日本の芸能》所収)。 以上,日本の民俗芸能を網羅・通観しての適切な分類だが,ここではこれを基本に踏まえながら,多少の整理を加えつつ歴史的な解説を行ってみる。…

※「田楽躍」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」