田治米村(読み)たじめむら

日本歴史地名大系 「田治米村」の解説

田治米村
たじめむら

[現在地名]岸和田市田治米町・ひがしおか

今木いまき村の南東牛滝うしたき川中流右岸に位置する。中世は多治米と書き、山直やまだい郷内の里あるいは村の名称であった。年欠の久米多寺免田注文(久米田寺文書)によると、山直郷を構成する八つの里の一つに「多治米里」があり、同里に久米田くめだ寺領免田が三町一反三四〇歩存在していた。「行基年譜」は和泉国久米田池の所在地を「泉南郡丹比部里」と記しているが、それが正しいとすれば、多治米の語源はタジヒベであったといえるであろう。現河内長野市金剛こんごう寺に蔵される聖教類の奥書に「弘安六年五月廿二日、於泉州山直郷多治米村安楽寺之砌、為仏法興隆、書写畢」「今年(元亨三年)三月十六日、泉州南郡多治米寺大門供養勧進之、村人子息十人童舞」とあるほか、鎌倉時代後期頃の多治米村の寺や堂で経論の書写が行われたことを示すものがいくつもあり、前記安楽あんらく寺・多治米寺のほか地蔵院・道場無量寿むりようじゆ寺などの名が伝わる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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