町人貴族(読み)チョウニンキゾク(英語表記)Le bourgeois gentilhomme

デジタル大辞泉 「町人貴族」の意味・読み・例文・類語

ちょうにんきぞく〔チヤウニンキゾク〕【町人貴族】

原題、〈フランスLe Bourgeois gentilhommeリュリ作曲のバレエ。5幕。1670年、シャンボール城にて初演モリエール脚本。貴族になろうとした成り上がりの商人を描いたコメディーバレエの代表作

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「町人貴族」の意味・わかりやすい解説

町人貴族 (ちょうにんきぞく)
Le bourgeois gentilhomme

モリエール作の舞踊喜劇。5幕散文。音楽はリュリ。初演1670年。大金持町人ジュールダン氏は,貴族にあこがれ,音楽,ダンス,剣術,哲学の教師を雇って修業中。彼は娘の恋人クレオントが貴族でないという理由でその結婚を拒否してしまう。若者の下僕コビエルは一計を案じ,主人をトルコの王子に仕立て,ジュールダン邸に乗り込み,珍妙な儀式挙行,彼をママムーシ(トルコの遍歴騎士)に叙する。ジュールダン氏はすっかり満足,若者たちも首尾よく結ばれる。異国趣味に音楽,ダンスを盛り込んだ笑劇で,劇行為はすべて4幕目のママムーシの儀式に至るお膳立てとなっている。財政的理由からルイ14世がとった貴族と町人の融和策に乗って,肩書欲しさに貴族と縁組する町人を風刺,戯画化したもので,モリエールの作品中,最も視覚的楽しさに満ちている。主人公ジュールダン氏は作者自身が演じた。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android