疫学的因果関係(読み)えきがくてきいんがかんけい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「疫学的因果関係」の意味・わかりやすい解説

疫学的因果関係
えきがくてきいんがかんけい

疫学的方法により証明された法的因果関係のこと。疫学的方法とは,病気の原因あるいは伝染経路として合理的な説明の不可能なものを取除き,残された有力な因子を統計的な大量観察により原因,あるいは経路として特定しようとするもので,いわば消去法による高度蓋然性を証明することにすぎない。最近,公害に関する民事判例で採用されているが,刑事責任を基礎づけうるかは疑問が多い。一般の刑事事件でも,千葉大チフス菌事件などで疫学的証明が用いられた。なお公害罪法は,因果関係の立証に際しての困難さを緩和するために,行為と危険結果との間の因果関係の推定規定を設けている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の疫学的因果関係の言及

【疫学】より

…このような理論の進展を支える技術面の進歩に加えて,大型コンピューターの開発によって大量の資料を速やかに処理できるようになったことと統計学の進歩があった。 近年,疫学に対する司法,行政面からの期待も強まって,疫学的因果関係が注目されるようになった。疫学的因果関係とは,たとえば公害病など集団的に発生した疾病と環境汚染との因果関係を疫学的に立証することをいう。…

※「疫学的因果関係」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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