皮膚や粘膜に分布する感覚点の一つで,外からいろいろな強さの刺激を加えたとき痛みだけがおこる点状の小区域。全身の皮膚のほか,口腔,咽頭,鼻腔などの粘膜にも散在し,その数は200万~400万に達する。先のとがった硬い毛で刺激すれば痛みをひき起こす点として容易に検出できる。ドイツのフライMaximilian von Frey(1852-1932)は,1895年に痛点の存在を有力なよりどころとして,痛みが他のすべての感覚とは別な独立した感覚であるという考えを発表した。痛点には痛みを伝える末梢神経繊維の終末部がある。これは神経繊維が裸になった自由終末で,皮膚や粘膜を傷害する侵害刺激に特異的に反応するので侵害受容器とよばれる。サルの皮膚には,直径2~5μm,興奮の伝導速度が12~30m/sのΑδ侵害受容繊維が分布していて,そのおのおのが1~8cm2の領域に分布する3~20個の点状領域の刺激に反応する。この点状の領域がおそらく痛点に相当すると思われる。
執筆者:横田 敏勝
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…機械的刺激とか,皮内に刺入した電極を通じて電気刺激を加えてみると,かゆみをおこす部位は皮膚上に点状に分布していて,痒点itchy pointとよばれる。それは痛みにおける痛点pain spotに類似している。局所麻酔薬を末梢神経の近くに注射してやると,最も細い繊維がまず麻酔され,次いでしだいにより太い繊維が麻酔されていく。…
…これには数種類のものがあって,それぞれに有効な特定の侵害刺激がある。皮膚の外から硬い毛などでこすったとき,痛みをひき起こす点を痛点というが,ここには侵害受容器が分布している。侵害受容器を取り囲む組織の炎症や,帯状疱疹のような病気によって神経繊維に異常のあるときには,通常,痛みを起こさないような弱い刺激にも反応するようになる。…
…機械的刺激とか,皮内に刺入した電極を通じて電気刺激を加えてみると,かゆみをおこす部位は皮膚上に点状に分布していて,痒点itchy pointとよばれる。それは痛みにおける痛点pain spotに類似している。局所麻酔薬を末梢神経の近くに注射してやると,最も細い繊維がまず麻酔され,次いでしだいにより太い繊維が麻酔されていく。…
※「痛点」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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