発運使(読み)はつうんし(英語表記)fa-yun-shi; fa-yün-shih

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「発運使」の意味・わかりやすい解説

発運使
はつうんし
fa-yun-shi; fa-yün-shih

中国,宋の官名。唐末の藩鎮跋扈で,転運使を通じて都に送られる地方の物資が少くなったので,唐朝に好意的な藩鎮に,発運使の官を与えて,その地方の物資を中央に送らせることとした。これが発運使の始りで,五代を経て宋にいたり官制も整った。宋は初め京畿東路発運使,次いで水陸路発運使をおき,淮南の漕運を司らせたが,南方漕運の発展に伴って,至道1 (995) 年江淮両浙発運使をおき,一路の長官である転運使の上位とし,淮浙四路の漕運を総轄させた。景徳3 (1006) 年には荊湖二路が加えられ,名称も淮南江浙荊湖制置発運使となり,副使判官なども設けられた。南渡後はただ政府買上げを職とするだけとなった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の発運使の言及

【大運河】より

… 運河関係の官庁も,運河そのものより漕運を取り扱うものの方が重視せられた。漕運を専門とする官は,唐代7世紀の初めに水陸運使がおかれたのに始まり,宋代には発運使が真州(江蘇省儀徴県)と泗州(安徽省泗県)とに駐在して,全国各路の転運使を指揮統轄する形をとったのである。元では都漕運司を大都と揚州,済州において漕運を統轄させるとともに,水利の専門官として大都に都水監をおき,全国各地に河渠司を設けた。…

※「発運使」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

発見学習

発見という行為の習得を目指す学習。または,発見という行為を通じて学習内容を習得することを目指す学習。発見学習への着想は多くの教育理論に認められるが,一般には,ジェローム・S.ブルーナーが『教育の過程』...

発見学習の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android