白波の(読み)シラナミノ

デジタル大辞泉 「白波の」の意味・読み・例文・類語

しらなみ‐の【白波の】

[枕]白波」との関連から、「いちしろし」「よる」「かへる」などにかかる。
「―いちしろく出でぬ人の知るべく」〈・三〇二三〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「白波の」の意味・読み・例文・類語

しらなみ‐の【白波の・白浪の】

  1. 「白波」の「しら」と類音の「しろ」を含む「いちしろし」にかかる。一説に、白く立つ波の鮮明な印象からという。
    1. [初出の実例]「隠沼(こもりぬ)の下ゆ恋ひあまり白浪(しらなみの)いちしろく出でぬ人の知るべく」(出典万葉集(8C後)一二・三〇二三)
  2. 白波が寄る意で、「寄る」と同音の「夜」「夜夜(よるよる)」などにかかる。
    1. [初出の実例]「白波のよるよるごとになぐさまば袖の干る間は我も知りなむ」(出典:兼輔集(933頃))
  3. 白波が立つの意でかかる。
    1. (イ) 「立つ」と同音を含む「たづき」にかかる。
      1. [初出の実例]「しらなみのたづきありせばすべらぎの大宮人となりもしなまし」(出典:曾丹集(11C初か))
    2. (ロ) 「立つ」と同音を含む地名立田」にかかる。
      1. [初出の実例]「しらなみの立田の川を出でしよりのち悔しきは舟路なりけり」(出典:重之集(1004頃)上)
  4. 白波がうち寄せる意で、「うち寄せる」の「うち」と同音の接頭語「うち」を含む「うちしきり」「うち寝る」などにかかる。
    1. [初出の実例]「しらなみのうちしきりつつ今宵さへいかでか一人寝(ぬ)るとかや君〈よみ人しらず〉」(出典:拾遺和歌集(1005‐07頃か)恋四・八五一)
  5. 白波の引いたあとの意で、「あと」「なごり」にかかる。
    1. [初出の実例]「何にかは袖の濡るらん白浪のなごり有るけも見えぬ心を〈大輔〉」(出典:後撰和歌集(951‐953頃)恋四・八八六)
  6. 白波の波折(なおり)(=波が折り重なって高くもり上がること)の意で、「波折」の「折」と同音の「折」にかかる。
    1. [初出の実例]「しらなみの折々ありて来る人は海人の刈るてふめづらしきかな」(出典:古今和歌六帖(976‐987頃)三)
  7. 白波が寄せる浜の意で、「浜松」(一説、「浜」)にかかる。
    1. [初出の実例]「白浪乃(しらなみノ)浜松が枝(え)の手向け草幾代までにか年の経ぬらむ」(出典:万葉集(8C後)一・三四)
  8. 白波が寄せるという実景をもって、海辺の地名にかかる。また、白波が高しの意で、「高し」と同音の地名「高師」にもかかる。
    1. [初出の実例]「白浪のいらごが島の忘れ貝人忘るとも我忘れめや」(出典:基俊集(1142頃)下)

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