皇竜寺(読み)こうりゅうじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「皇竜寺」の意味・わかりやすい解説

皇竜寺
こうりゅうじ / ファギョンサ

朝鮮新羅(しらぎ)の真興王が国家鎮護のために造営し、官寺の首位に置いた仏教寺院。553年に起工、566年に落成したが、壮大な金堂は584年に、高さ68メートルの木造九重塔は645年に竣工(しゅんこう)したといわれている。高麗(こうらい)時代の1238年に惜しくも兵火にかかって全焼し、法燈が絶えてしまった。新羅の古都慶州の東郊に、広大な敷地を占めて礎石群が残っており、南大門、中門、塔、金堂、講堂と一列に並ぶ方式で、日本の四天王寺式伽藍配置と同じである。

[紅山雪夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の皇竜寺の言及

【寺院建築】より

…古新羅はその固有の文化,伝統の強さから仏教の受容は遅れたが,その後の寺院造立は最も盛んであった。興輪寺,皇竜寺,永興寺,祇園寺,実際寺,三郎寺,霊妙寺,芬皇寺などが知られ,芬皇寺に塼塔に倣った石塔と幢竿支柱を残す。皇竜寺址は発掘調査によって,566年竣成から統一新羅時代にわたる大伽藍の全容と変遷が明らかにされた。…

【新羅】より

…また,新羅末期には地方自立の傾向をうけて,禅宗が地方豪族と結合して各地で栄え,禅宗九山という多様な宗派を生み出した。 三国時代の新羅の仏教文化は初め高句麗の,のちに百済の影響をうけながら,皇竜寺の伽藍址や芬皇寺石塔のように,覇気と調和美とをもつものであった。統一時代前半の文化は,雁鴨池(がんおうち),石窟庵,仏国寺などにみられる宗教的な情熱を秘めた貴族文化である。…

※「皇竜寺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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