家庭医学館 「皮膚悪性リンパ腫」の解説
ひふあくせいりんぱしゅ【皮膚悪性リンパ腫】
健康な人のリンパ球はリンパ節でつくられますが、皮膚の中でリンパ球が増える状態になることがあります。その増えるリンパ球が、がん細胞である場合を皮膚悪性リンパ腫といいます。
悪性リンパ腫は、リンパ球の性状により、T細胞リンパ腫とB細胞リンパ腫に分けられますが、菌状息肉症(きんじょうそくにくしょう)とセザリー症候群はどちらも皮膚T細胞リンパ腫の仲間です。
菌状息肉症は、ふつうの湿疹(しっしん)と区別できないような状態が長い間にわたってくり返され(この期間を紅斑期(こうはんき)といいます)、やがて患部が少し盛り上がって硬くなり(扁平浸潤期(へんぺいしんじゅんき)といいます)、そこに腫瘤(しゅりゅう)ができるものです(腫瘍期(しゅようき)といいます)。扁平浸潤期から腫瘍期にかけては、全身のリンパ節、肝臓、脾臓(ひぞう)などが腫(は)れ、末期には白血病(はっけつびょう)になることがあります。全経過は20~30年にわたり、最終的には死にいたる病気です。
セザリー症候群は、全身の皮膚が赤くなり(紅皮症(こうひしょう))、かゆみがあります。全身のリンパ節や脾臓が腫れ、白血球がふえます。その白血球の中にセザリー細胞という特徴的な形をした白血球が出現するため、この名がついています。男性に多く、いずれは死にいたる病気です。