目から鱗が落ちる(読み)メカラウロコガオチル

デジタル大辞泉 「目から鱗が落ちる」の意味・読み・例文・類語

からうろこ・ちる

新約聖書使徒行伝」第9章から》何かがきっかけになって、急に物事実態などがよく見え、理解できるようになるたとえ。
[補説]文化庁が発表した平成19年度「国語に関する世論調査」では、本来の言い方とされる「目から鱗が落ちる」を使う人が80.6パーセント、本来の言い方ではない「目から鱗が取れる」を使う人が8.7パーセントという結果が出ている。

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精選版 日本国語大辞典 「目から鱗が落ちる」の意味・読み・例文・類語

め【目】 から 鱗(うろこ)が落(お)ちる

  1. 新約聖書の「使徒行伝」から出たことば。何かがきっかけとなって、急に物事の事態がよく見え、理解できるようになるというような場合のたとえとして用いられる。
    1. [初出の実例]「彼の眼(メ)より鱗(ウロコ)の如もの脱(オチ)て再び見ことを得、すなはち起てバプテスマを受」(出典:引照新約全書(1880)使徒行伝)

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故事成語を知る辞典 「目から鱗が落ちる」の解説

目から鱗が落ちる

何かがきっかけとなって、急にものごとの実態がよく見え、理解できるようになることのたとえ。

[使用例] 何も言われずとも、こちらの胸にぐっと来るのだ。ハッと思う、とたんに目から鱗が落ちるのだ。本当に、改心も出来るのだ[太宰治正義微笑|1942]

[使用例] 私もおそらくオランダ書のほうが正しいだろうとは信じていたものの、現実の人体内臓にあたってそれを確かめ得て、眼からうろこが落ちたような思いがする[南條範夫*無頼武士道|1973]

[由来] 「新約聖書―使徒行伝・九」に見える話から。一世紀のこと、キリスト教徒を迫害していたサウロパウロ)という人物は、ダマスコという町へ向かう途中、目もくらむような光に包まれました。そして、イエスが「なぜ私を迫害するのか。町へ行けば、あなたのすべきことが告げられるだろう」と語りかけてくる声を聞いたのです。その光のせいか目が見えなくなった彼が、ダマスコの町で祈っていると、アナニアという人物が目を治しにやってくる幻を見ました。すると、実際にアナニアが現れて、「イエスが私を使わしたのです」と告げました。「するとたちどころに、サウロの目から、うろこのようなものが落ちて、元どおり見えるようになった」(口語訳新約聖書)ので、サウロはイエスの教えに帰依したのでした。

[解説] ❶パウロは、キリスト教が発展する基礎を築いた、重要な信者一人。その彼が、イエスの教えに目覚めるという、重大な瞬間のできごとです。実際に目が見えず、実際に鱗のようなものが落ちたと、伝えられています。❷現在では、宗教的な目覚めに限らず、疑念や不安、迷いなどが吹っ切れて、真実が見えるようになる場合に使われます。

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ことわざを知る辞典 「目から鱗が落ちる」の解説

目から鱗が落ちる

何かがきっかけとなって、迷いからさめ、急に事態がよく見えて理解できるようになる。

[使用例] それを聞いたとたんに、眼から鱗が落ちるとはあんな時の感じを言うのでしょうか[太宰治*トカトントン|1947]

[解説] 「新約聖書―使徒行伝・九」の「直ちに彼の目より鱗のごときもの落ちて見ることを得」によることば。

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