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壁の仕上面を柱と柱の間に設け,柱が見えるように造った壁。大壁に対する語である。元来は和風木造建築における構法をいうが,近年,材料を問わず同じように柱を見せる壁を一般的に真壁と呼んでいる。真壁の伝統的な構法としては,柱間に渡された貫(ぬき)に間渡し竹を掛け,これに小舞竹を格子状に添わせて縄で組み,壁土を塗って最後にしっくいなどで仕上げる小舞壁があるが,最近では貫をたよりにセッコウボードに多数の孔をあけたラスボードを張り,プラスターで下塗をする略式構法が多用されている。またボードを張った上に布や紙で仕上げる乾式構法もある。壁:の両面が真壁の場合は筋かいを入れることがむずかしく,片面の場合も大きな筋かいは入らない。また,柱に見ばえのよい高価な化粧材を用いる必要があるほか,水密性,気密性の高い壁にするのはむずかしいなどの問題点がある。反面,柱がつねに内外の空気に触れているため防腐上は好ましく,柱や他の枠材が塗壁の乾燥に伴う収縮変形に対しても一種の目地的な役割をするなどの利点もある。真壁による建物を真壁造ともいう。
→小舞
執筆者:大野 隆司
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…白髪部という氏姓は,武蔵,上総,下野,美濃などの東国と山背,備中などに分布する。この後,光仁天皇の諱(いみな)である白壁を避けて真壁と改められたが,《和名抄》では,真壁郷は駿河,常陸,上野,下野,備中にみられるから,これをみても東国に多い。かつて東国から出仕した舎人らのため設定されたものであろう。…
…繊維壁の場合は下地にボードを用い,下塗や中塗なしに直接塗りつける。また,土壁は柱との納まりの関係から,柱の露出する真壁(しんかべ)式と柱を外側から塗り込んでしまう大壁式とに分けられる。大壁式塗籠の一種である土蔵造は耐火用として中世から倉に用いられ,近世には城郭に用いられておおいに発達した。…
…そのため,壁をまったくもたない建築も可能であり,また一般に窓や出入口は煉瓦造,石造に比べてはるかに大きい。壁は薄く,柱や貫を外に出す真壁(しんかべ)であるから,柱を壁が包む大壁(おおかべ)と違って,構造の主体である柱,梁,貫はすべて外に表れ,建築意匠として重要な役割を果たす。またそれらの材料の良否が,ただちに建築意匠に関連してくる。…
…このような柱と屋根だけで壁のない開放的な構造は,西洋の建築からいえば建築という名に価しない構造物のようにもみられよう。壁が少なく,あっても柱を外に出した真壁(しんかべ)であるから,大きな壁面は構成されない。このため建物の外観は軽快となり,量感に乏しくなる。…
…屋根葺き材の種別では,茅葺き(かやぶき)(藁葺き),杉皮葺き・板葺き(ともに石置屋根),桟瓦(さんがわら)葺き,本瓦葺きがある。外壁の種別では柱を外に見せた真壁(しんかべ)式と,壁の中に柱を塗り籠めた大壁式に大別される。真壁式は東日本,大壁式は西日本の民家に多い。…
※「真壁」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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