瞳孔緊張症(読み)どうこうきんちょうしょう(英語表記)Tonic pupil

六訂版 家庭医学大全科 「瞳孔緊張症」の解説

瞳孔緊張症
どうこうきんちょうしょう
Tonic pupil
(眼の病気)

どんな病気か

 副交感神経の障害により瞳孔不同が起こる状態です。20~40才の女性に多く、80%以上は片眼性です。

原因は何か

 多くは原因不明です。糖尿病・ウイルス感性症・膠原病(こうげんびょう)など全身疾患の合併例も10~20%報告されています。

症状の現れ方

 瞳孔括約筋麻痺により縮瞳障害が起こるため、明所での瞳孔不同が顕著になります(患眼が散瞳)。明所での羞明(しゅうめい)感や、明るい部屋で鏡を見て瞳孔不同に気づくことが多いようです。瞳孔緊張症にアキレス腱膝蓋腱反射(しつがいけんはんしゃ)の消失・減弱を伴うものをアディー(Adie)症候群といいます。

検査と診断

 両眼の瞳孔径を明所と暗所で観察し、明所で瞳孔不同が著明になることを確認します(図60)。対光反応は欠如し光を当てても縮瞳しませんが、近見時にはゆっくりと縮瞳します。対光近見反応解離と呼ばれる瞳孔緊張症の特徴です。また、低濃度ピロカルピン点眼試験にて過剰に縮瞳する過敏性獲得も、診断基準になります。

治療の方法

 時間経過とともに瞳孔は縮小していくことが多く、とくに治療を必要としないことが多いのですが、羞明が強い場合は虹彩付きコンタクトレンズを処方することがあります。


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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