短期分析・長期分析(読み)たんきぶんせきちょうきぶんせき(英語表記)short-run analysis, long-run analysis

日本大百科全書(ニッポニカ) 「短期分析・長期分析」の意味・わかりやすい解説

短期分析・長期分析
たんきぶんせきちょうきぶんせき
short-run analysis, long-run analysis

経済分析の方法。市場において需要供給とが均衡していない場合には、両者が調整されて均衡が成立する。この調整の期間の長さについて長期短期とが定義されるが、この基礎となっているのはA・マーシャルの概念である。すなわち、供給側の調整において資本設備が増減できる期間を長期といい、これに対して短期とは、資本設備を調整する時間的余裕がなく、資本設備が一定とみなされる期間をいう。短期分析においては、資本設備、人口、消費者嗜好(しこう)、生産技術水準などの長期的諸要因は所与で一定とされ、この条件下で需要変化や雇用変化による生産量や価格の動き、短期均衡条件などが分析される。ケインズ理論は短期分析であり、長期的諸要因は変化しないものとして短期の経済変動が分析されている。長期分析においては、資本設備、生産技術などの長期的諸要因も可変的となり、この条件下で生産量や価格の動きに加えて成長率や技術進歩率、長期均衡条件などが分析される。

[鈴木博夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

発見学習

発見という行為の習得を目指す学習。または,発見という行為を通じて学習内容を習得することを目指す学習。発見学習への着想は多くの教育理論に認められるが,一般には,ジェローム・S.ブルーナーが『教育の過程』...

発見学習の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android