ショートともいう。正常な状態またはふつうの使用条件では,電圧を発生している2点間を導体で接続すること,または接続されてしまう事故などをいう。短絡により,短絡以前に出ていた電圧はほぼ0となり,短絡地点には大電流が流れることが多い。
電源,送電線などの線間短絡,三相回路の2線が短絡する相間短絡,1線と接地との間の短絡である地絡,電気機器のコイルなどでの層間短絡などの事故が起こると,過大な短絡電流が流れる。短絡電流の定格電流に対する倍率は短絡比と呼ばれ,交流回路では主としてリアクタンスで決まる。過大な短絡電流から電源や関連機器を保護するため,遮断器やヒューズにより短絡電流を遮断する。短絡を積極的に利用することもある。例えば発電機,変圧器などの試験に際し,実負荷をかけるかわりに出力端子を短絡し,発生電圧や入力電圧を下げて定格電流を流す試験法を短絡試験といい,手軽に必要とする大電流が得られるため,広く用いられる。雷や開閉サージなどによる高電圧が電線を通じて機器に侵入し,機器の破壊をもたらすことがあるが,機器を守る目的で避雷器などとともに,電源側端子間をサイリスタースイッチなどで短絡する保護方式を用いることもある。磁束が変化する磁路の一部に短絡リングまたは短絡コイルを配置すると,磁束の変化が遅くなる。これを利用したものに,くまどりコイル型モーター,動作をわざと遅くする緩動リレーなどがある。
執筆者:曾根 悟
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電源や電気・電子回路において、電圧の生じている2点間が接触して電気的に接続されたり、相対的に低い抵抗(インピーダンス)の導体で電気的に接続されたりする状態をいう。ショート、ショートサーキットともいう。水も短絡の原因となる。エレクトロニクス製品を水中に落とすと動作しなくなるのは回路が短絡するためである。電圧を生じている発電機や電気回路などが短絡されると、大電流が流れて発電機や回路などを焼損するおそれがある。そこで送・配電線や電気機器には、短絡した場合でも過大な電流の流れる時間をできる限り短くして焼損を防ぐために、遮断器やヒューズを設けてある。電源コンセント周りや、エレクトロニクス製品の内部にたまったほこりを長時間放置すると、炭化して電気が流れやすくなって短絡し、火災の原因となるので注意が必要である。このように短絡は誤って生ずる場合が多い。これに対し、電気計器やエレクトロニクス機器の保護のために、不使用時にはこれらの機器の端子間を短絡しておくこともある。周波数が高い場合、2点間を導線で結んでも、導線の長さが波長と同程度以上になる場合はリアクタンスが無視できないため、完全な短絡状態にはならない。
[布施 正・吉澤昌純]
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「ショート」のページをご覧ください。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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