改訂新版 世界大百科事典 「石井研堂」の意味・わかりやすい解説
石井研堂 (いしいけんどう)
生没年:1865-1943(慶応1-昭和18)
少年雑誌や児童文学の編集者,執筆者で,明治文化史の研究家。岩代国郡山生れ。本名民司。福島県で小学校訓導となった後,1886年東京府小学高等科教員検定試験に合格。89年《小国民》(のち《少国民》)創刊に際しその編集を担当し,97年までその任に当たる。《小国民》は歴史読物などを多く含んだ少年雑誌で,研堂自身も無署名で執筆し,挿絵や印刷にも工夫がこらされていた。研堂はその後他の少年雑誌の編集にも関与し,《自助的人物典型 中村正直伝》(1907)など少年向けの伝記や《少年工芸文庫》など科学書の執筆・編集でも活躍。幸田露伴や巌谷小波らと交流があった。1908年文化史・技術史研究を総合した《明治事物起源》を執筆(のち増補改訂)し,24年尾佐竹猛や吉野作造らと明治文化研究会をつくり《明治文化全集》の編纂に尽力,また錦絵や昔話,漂流譚など失われつつある文物の採集にもとりくんだ。
執筆者:赤沢 史朗
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報